【デキる上司の十訓十戒017】愚痴らない ~無礼講、一夜明ければ無礼者~

愚痴る上司というのは、部下の目にはとてつもなく憐れに映ります。みなさんのまわりにも結構いるのではありませんか? よくあるのは、部下を引き連れて飲みに行った席で、会社の体制や経営上層部についてネガティブコメントを出しまくる人。中には、その場にいない部下(例えば、同席している部下の同僚とか後輩とか)の悪口まで口にする人もいたりします。まぁねそれくらい、愚痴や悪口というのは酒を格別に美味しくする肴なのでしょう。

でも、絶対にやらないことです。仮に課長であるあなたがそんな行いをしたとします。その場にいる部下たちは、多くの場合、同調するか頷くか、あるいは、一緒になって悪口・愚痴を並べ立てることもあるかもしれません。が、一夜明ければ、彼らは「課長こう言っていた」と他者に口外するかもしれません。そうなれば、上司であるあなたは一巻の終わりです。

ときに、「この席は無礼講だから、思うことを何でも言ってみろ」と言い放っておきながら、真に受けた部下が本当に本音を語りだすと説教を始める上司がいます。たちが悪い上司は、人事評価を下げたりする場合もあります。これって、部下を罠にはめているようなものですよね。
無礼講、一夜明ければ無礼者・・・です。

だから酒は怖いのです。外資系企業だと、部下と飲みに出かけること自体が上司にとってのリスクだということになります。ノミュニケーションが好きな上司は、ここのところを十分にわきまえてください。些細なことで脚をすくわれかねません。ある企業の一般職研修で耳にした話ですが、嫌いな上司をいつかこらしめるために、会社や経営陣を批判している様子を隠し録りしているなどという社員もいる時代です。おそろしい!

【部下の愚痴をかわすサンプル】

ときに、部下のほうが仕事や会社、さらには取引先等に対する不平不満や愚痴をこぼしてくる場合もあります。そんなときは、まちがっても部下と一緒になって体制批判をしないこと。例えばこんなふうに。

部下 「課長。今日の部長の話は何なんですか! 全然現場の実態をわかってないし、知ろうともしていないじゃないっすか! 課長から何とかいってやってくださいよ。あれじゃ、私たち、やりきれませんよ」
上司 「そうか。きみはそう感じながら部長の話を聴いていたんだね。たしかに、私も一営業マンの立場だったとしたら、反発心のひとつも起きたかもしれないね。営業課がまったく機能していないとでも受け取れるような言い方もあったからね。でもさ、部長は部長で根っからの営業畑できただろ? その部長があそこまで言うっていうのは、なにか背景にあったんじゃないかなって、わたしはそんなことを考えながら聴いていたんだよね。ここだけの話、営業管理職会議の席だは、役員からの叱責を部長が防波堤になって緩和してくれることも結構あるんだよね。同だろう。機を見て部長に確認してみるからさ、今日の一件だけで部長に対してネガティブな感情を持たないでもらいたいんだよね。どうかな?」

こんな感じです。ポイントは、部下の心情に配慮して共感を示しつつ、部長の良い点に気づかせる、あるいは部長の立場をも考えさせるということ。対象が経営陣でも会社自体でもコツはまったく一緒です。

【動かざること山のごとし】

また、クリティカルな状況に陥った時こそ、上司の真価が問われています。部下と一緒になって動転したり、弱音をはいていたりしたのでは、現場の士気にかかわります。有事のときの上司の姿を、部下たちは必ず注意深く見ています。信頼してついていける上司なのかどうか。その器の大きさを量るには、予期せぬ事態が起きたときの上司の言動を見るのがいちばんです。なかには、お手並み拝見とばかりに上司の対応を品定めしている部下だっています。

ここは泰然自若を演じてください。風格と威厳です。風格とは、容姿や言動に現れるその人の品格です。威厳とは、一貫して堂々とした態度のことです。何があろうと、ビジネスの現場で命を取られるようなことはあり得ません。部下たちに対しては、慌てず騒がず冷静に「なぜそうなったのか」・「どうすればよいのか」を考えようと促します。そして、「心配するな。何があろうとも責任はわたしが取る」という決め台詞をここぞという場面で使ってください。

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