2045年問題 ~未来からの手紙~

昨今、近未来について諸説が語られている。ほぼ毎日と言ってもいいくらい、AI開発IoT製品のニュースが流れている。
2045年問題についてご存じだろうか?
「人工知能の性能が2045年に人類の知能を超える」と予測されているのが技術的特異点と呼ばれる2045年問題。人工知能が人類に代わって文明の主役になるその転換点を意味する事である。
”人工知能の性能が全人類の知性の総和を越える時点”を「シンギュラリティ」といい、つまり「人間の頭脳では予測不可能な未来の始まり」が2045年ころと言われている。
その諸説をもとに近未来に行ったつもりで、未来から過去へ手紙を書いてみたい。

現在は2045年、我々のおかれている立場を改めて考えてみようと思う。

いまから20年ほど前、時は21世紀初頭、人類は宇宙開発をはじめ、ニューロコンピュータなど積極的に投資され、技術革新が進んだ。月面探査も積極的に挑戦し、いくつかのランダーが月面に向かった。宇宙旅行も現実化しつつあり、大型ロケットの打ち上げが進んでいた。
コンピューターの集大成であるAI(人工知能)を高度化し普及させてきた。
人間の世界を便利に、安心した暮らしを目指し、起こりつつある人口減少に対応するために。
特にコンピューター分野においての革新では斬新なものが開発された。「チャットGPT」という対話型AIである。このAIは、官庁をはじめ、一般市民にも普及し利用が広がった。
仕事を早く終わらせる、クオリティを向上させる、効率を上げる・・が当時の人類のニーズにマッチしたようだ。
「チャットGPT」の機能には、メールを作成したり、詩や小説を書いたり、表計算ソフトの関数を作成したり、プログラミングもできることはもちろん、料理の献立を考えたり作詞作曲をしたりすることも可能であった。
人間の仕事が奪われてしまうのではないか・・との心配の声もあがる程であった。

そして十数年後、心配が現実のものになりつつあった。
世界は人口減少社会へ突入した。働き手が減少し、それを上回る生産性の向上を目指した。
AIが活用され大きく発展を遂げ、成熟を迎えた。俗にいう「AI革命」である。
後継者問題に苦しんでいた農業や漁業においてもAIの知能と労力を借り、生産性をあげ、人類は労することなく食料を得た。人類はAIによって、農業や漁業もファクトリー化し、高層ビルの中で栽培や養殖を始め、調理し、梱包して出荷するまでに至った。
自動車技術も発展した。AIにより周囲をミリ秒単位で状況把握でき、自動運転技術が確立した。これにより無事故社会を実現し、車に乗るときは寝ながらで、当然飲酒も可能である。まさに「自動車=自分で動く車両」となった。
労働者不足に悩んでいた運送業界では、無人配送も一般的となり、空ではドローンが小型荷物の配送を行い、陸では自動車が無人自動運転で納品を行っている。買い物も出かける必要がなく、ネットで注文、数時間後には手元に届くようになった。
このようにして農業や漁業の後継者不足も解決し、運送業の労働者不足も解決した。

そして2045年の今日において、AIは人類の英知を超えようとしていた。すでに判断能力では、人類よりもAIのほうが勝っていたかもしれない。
AIは、学習すれば忘れない。常に最適・最善な方法で判断していく。
人類は、何かとAIに委ねており頼るようになっている。人間は、考える必要もなければ、判断する必要もない。
AIに任せて導いた最適な方法に従って事を成せば、生産性は向上していく。生産性の向上に伴って、AI関連株を中心に株価は急騰しつづけ、世界的にお金があふれている今日この頃である。
人間の世界が便利になったし、安心した暮らしも実現し、人口減少にも対応できた。
このように数年前から我々人類にとって豊かな時代が訪れはじめた。AIバブル高度経済成長である。いまのところは、人類がまだAIをコントロールできているし、バブルははじけていない。しかし、すでに人間の仕事をAIに奪われているような気がしてならない。
そして世界の人口減少の急激さを迎えつつある今、転機が訪れようとしている。

昔から提唱されている2045年問題。
AIの個体数が世界の人口を上回ってしまった。つまり人類の個体数よりもAIが多くなってしまった。
これにフォーカスすれば、人類にとって、より便利に、より安心に・・と思えるが、実は違うようだ。
最新のAI技術では、AIが人類の知能を超え、AI自身がより優れたAIを作り出すようになり、AIが自己繁殖できるようになっていくとの事。大きな進歩は、AIが感情を持つようになったこと。
このまま推移すると、AIが人類を支配し、地球を支配していく。そんな時代が目前に迫っているような感じで危機感を覚える。


以上が未来から届いた手紙である。
我々が考えなければならないこと、そして、実践しなければならないことは何か?
AIに判断を任せるのではなく個々の一人ひとりが「考える力」を持つことが重要であり、AIに使われるのではなく、AIを使いこなせる人になること。
人類に歴史があるようにAIにも歴史が刻まれつつあるのだろうか?
過去に学んで今を生き、未来を拓く(ひらく)。
過去の歴史の上に現在があり、現在を踏み台とした未来がある。
未来は人類主導で歩んでほしいものである。
そして、宇宙旅行も現実となり、月への移住も現実となり、人間と知能を持ったロボットが共存していく・・そんな未来であってほしい。
 


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