憲法違反の疑い

今般の国家公務員法等一部改正案に関して、検察庁法22項改正案が問題視されている。しかし、これは改正しなければ憲法違反の疑いがあるのだ。

検察官組織に於いて、検事総長、次長検事、検事長は『認証官』と呼ばれる。

検事総長、次長検事、検事長は内閣に任命権があり、更に天皇の国事行為により認証される。

天皇の国事行為により認証される者を『認証官』と呼ぶ。

憲法7条には

第七条
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
国会を召集すること。
衆議院を解散すること。
国会議員の総選挙の施行を公示すること。
国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
栄典を授与すること。
批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
外国の大使及び公使を接受すること。
儀式を行ふこと。

法律の定めるその他の官吏の任免

これについての承認も天皇は行う事となっている。

更に憲法3条では

第三条
天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

天皇の国事行為に関しては、その全ての行為には『内閣の助言と認証』を必要としているのだ。

認証官の認証にも『内閣の助言と認証』があり、その上で天皇の国事行為による認証を得ているわけである。

つまり自動的に定年を超え延長して認証官を継続すれば内閣の認証を経ずに、天皇の国事行為による認証が継続されると言う『憲法違反』の状態を招く恐れがあるのだ。

天皇の国事行為による認証には必ず、内閣の助言と認証を必要としている。

この事は内閣法制局からの指摘もあり、このやりとりは議事録化され国会に提出されている。

こうした内閣法制局、法務省、人事院の一連の流れは書面として国会に提出済みであり野党議員も充分に認知している。更に民主党政権より党派を超えた議論を12年行い、閣議決定3回、人事院意見書5回を経ている。

この経緯を踏まえて黒川高検検事長の定年延長があるのであって、唐突なものではないのだ。

黒川高検検事長の定年延長の理由もカルロスゴーン事件、一連のIR事件の継続が主な理由である。

もちろん政府の説明不足や、禍での法案提出には問題が無いとは言えない。秋の臨時国会での審議でも良かったと言える。

しかし、定年延長により内閣の力が検察に働き恣意的な!と言う論理が当てはまるのかは甚だ疑問である。

法案には人事については書かれてはいない。あくまでも定年延長の法案だ。



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