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外国人ケアワーカーに介護の魅力を伝える方法

クリスマス&お正月を、家で過ごせる喜びを嚙みしめています。

介護&医療従事者は、人が休んでいる時でも当たり前のように現場に出て働きます。ヘルパー修行の2年間は、私も当然のように年末年始は朝から晩まで現場で働きました。


コロナ禍では完全防備での支援でした

コロナ真っ最中の2年前のこと。当事業所トップ3に入る厳しい男性利用者さん宅にて、調理支援を行いました。「正月だからこのハマグリを使って雑煮を作れ」と命令?されました。

ワンミスが命取りです。新年早々怒鳴られたくない私は、急いでクックパットで検索して、慎重かつ大胆にハマグリのお雑煮を作りました。

味の感想を聞いて、お気に召さなかったらやぶ蛇だと思い、そのまま無言で家事に専念して、次の現場に向かいました。

その翌日、昨日と同じように調理支援で伺うと、ハマグリの貝殻が台所に置いてありました。「何か不都合があったのでは?!」と思い、身構えていると、強面のその利用者さんは、ちょっと恥ずかしそうにこう言いました。

「正月に来てくれたのに、何もあげられるものがないから、この貝殻を息子さんに持っていってあげて」とのこと。

さすがの私も即答で、「ありがとうございます!息子(3歳)も喜びます!!」とは言えず、対応に苦慮しました。一方で、年末年始も休まずに働いている我々ヘルパーに対して、何かお礼がしたいという、その利用者さんの気持ちは、十分に理解できました。

さて、自宅に戻ってからが問題です。このハマグリの貝殻を息子に、「お土産だよ」と言って渡したら、奥さんに激怒されるでしょう。かといって、そのままごみ箱に捨ててしまっては、利用者さんに申し訳ないと思い、しばらく悩みました。

数日が経て、私が出した結論は、貝殻を粉砕して観葉植物の肥料にすることでした。これなら家族との調和と、利用者さんとの関係性の両方を保つことが出来るという、我ながら良いアイデアだと自画自賛しました。

それから1年後、その利用者さんはコロナでお亡くなりになりました。3回に1回の割合で理不尽な暴言を浴びさせられる、本当に気難しい利用者さんではありましたが、その分思い出がたくさんあります。

写真の1枚でも撮っておけばよかったと、今更ながらに残念なのですが、例のハマグリの写真だけは保存してありました。今となっては貴重な一枚です。


介護は、人が休んでいる時でも当たり前のように働く、大変な仕事です。その一方で、人間性を育む機会が無数にちりばめられている、興味深い仕事でもあります。

私は、知識だけではなく、ストーリーを通して、日本を目指す外国人ケアワーカーの皆さんに、介護の魅力を伝えていこうと思います。2024年も、どうぞよろしくお願い致します。

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