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科学史から見た量子力学の間違い⑤

軌道電子は原子核の陽子と電子の電荷にゆるくつながれ、原子核にニュートリノが突入して発生するガンマ線の定在波の節に落ち込んでいる。電子は波動関数による確率的存在ではないことがわかった。アインシュタインの主張が正しかったわけだ。
量子力学は物性をかなり正確に予想する。計算による現象の予測が量子力学が正しいと考える根拠になっている。だが、量子力学では原子内部の構造が不明なため、低温核融合などの核変換を説明できない。いっぽう半導体の物性はかなり正確に描写できる。なぜかといえば、波動関数を導入した時点で統計力学を援用したからだ。
量子力学を習う際の導入部分では、非常にまぎらわしい説明がされる。波動関数を説明するために水素原子が登場し、二重スリットが使われるが、現実とはかけ離れている。

存在しない水素原子、干渉しないスリット

量子力学を勉強すると波動関数の例として水素原子が使われる。しかし、陽子1個に電子が1個の状態というのは自然界には存在しない。水素分子は陽子2個が電子2個で結合されている。

陽子と電子が組み合わさり分子が構成される

宇宙では星間物質が存在するが、その多くは陽子3個が電子2個で結合したプロトン化水素分子の形をとっている。いずれも力学的に安定した構造だ。

星間物質はプロトン化水素分子の形をとることが多いと予想されている

ガラスチャンバーに低圧の水素ガスを入れ、高電圧をかけると水素分子は陽子と電子がばらばらになったプラズマ状態になる。バルマーが発見した水素原子の輝線スペクトルはプラズマ発光を見ていたのだ。

また、量子力学でよく使われる二重スリット実験は、大量の電子を使う実験だ。


wikipedia

二重スリットの実験では暗黙の了解として、電子がランダムにスリットに打ち込まれる条件がある。スリットに当たってしまった電子はスリットを帯電させるが、スリットの近傍を通る電子はスリットの帯電によって曲げられる。これらは普通全く説明されない。なぜこのような変な実験が行われていたのだろう。
二重スリットの干渉縞は、干渉させるための隠された要素があった。じつは、かつてあったカラーテレビのブラウン管では、非常に精確な電子ビームの制御が行われていて、スリットを通しても干渉は現れなかった。

干渉縞が現れたらにじんでしまいカラーテレビは売れなかったろう
クイントリックス!


量子力学は統計力学

シュレディンガーは「量子力学は統計力学から生まれ、統計力学に終わる」という言葉を残している。
統計力学とは「物質を構成する多数の粒子の運動に力学法則および電磁法則と確率論とを適用し,物質の巨視的な性質を統計平均的な法則によって論じる物理学の分野。」(ことバンク)
20世紀初頭の技術では原子1個を扱うことが出来なかった。現在でも特殊な場合を除いて、1個の粒子を扱う技術を人類は持ち合わせていない。量子力学の検証には電子、原子を大量に使った実験から、その特性を得ている。
プランクは溶鉱炉の温度からエネルギーが飛び飛びであることを発見した。量子の概念は最初から統計的だった。ボーアの原子模型はバルマーが測定した水素原子のスペクトルがきっかけとなった。これも低圧の水素ガスを入れたチャンバーで放電させた結果だ。大量の水素プラズマが発光している。ドブロイ波は統計的な現象を説明するために考え出されたのだ。電子の確率分布を表すのが波動関数だ。
ドブロイ波を検証したデビソンとガーマーの実験も大量の電子とニッケルで行われた。これも統計力学の扱う現象だ。

ドブロイ波を検証したデビソンとガーマーの実験
wikipediaより

19世紀は熱力学の時代だった。量子力学を構築した研究者のほとんどが熱力学の専門家で統計力学にも精通していた。アインシュタインも研究生活の多くを熱力学に費やしていた。
量子力学は1個の電子を統計的に扱おうとした結果、どこかで論理がねじ曲がってしまった。不確定性原理でなんとか理論づけようとしたが、かえって意味不明な結果をもたらした。量子力学に終始反論したアインシュタインの直観は正しかったと言える。
また、量子力学の基礎となる理論を主張したのは、いずれも若い研究者だった。
• アインシュタイン 1879-1955 26歳
• ハイゼンベルク 1901-1976 26歳
• シュレディンガー 1887-1961 39歳
• ボーア 1885-1962 28歳
• ドブロイ 1892-1987 32歳
• 湯川秀樹 1907-1981 27歳  年齢は重要な理論を発表したとき
第一次世界大戦とスペイン風邪の影響で中堅の研究者がいなくなり、勢い若手の研究者が出てきた。量子力学は何か画期的な発見をしたいと意気込んだ若気の至りなのだ。
少しだけ年長のアインシュタインとシュレディンガーが量子力学に反対していたのは興味深いと言える。量子力学が台頭してきたのは、古典物理を考える古い研究者が新しい理論を理解して宗旨替えをしたわけではない。古典物理から量子力学に乗り換えた研究者はほとんどいなかった。不確定性原理を生んだハイゼンベルクでさえ、古い古典物理の概念を捨て去るのがたいへん難しかったと回顧している。古い研究者が研究の舞台から去ったのが量子力学を普及させた原因だ。
量子力学は統計力学として生き残るかもしれない。しかし、肝心の原子と原子核の構造については量子力学を排除した理論が必要とされるはずだ。

SEAMの提唱

中性子は陽子に電子が結合した複合粒子だ。原子核は陽子と陽子が励起した状態の電子によって結合している。軌道電子は原子核のプラスとマイナスにゆるくつながれ、原子核から放射されるガンマ線の定在波の節に落ち込んでいる。これをStatic Electron Atom Model-SEAM(シーム)と呼ぶことにしたい。
現状の量子力学では常温核融合を説明できないため、LENR(Low Energy Nuclear Reactions)は正当に評価されない場合が多い。しかし、LENRを無視しては物理学は停滞するし、エネルギー開発も次のステップに進めない。LENRはすでに標準理論を変更せざるを得ないほどの進展を見せている。見いだされた現象に合わせ理論を進める必要があるだろう。
次回からはタイトルを変えて、SEAMによる原子核の構造、磁気、熱などを解説してみたい。

タイトルの画像はトリチウムが電子1個を放出してヘリウム3になる図

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