私の読んだ100冊_001『僕はかぐや姫』

人生でかれこれ100冊くらいはさすがに本を読んでいるだろうということで、思いつくまま昔読んだ本の感想なんかを述べてみようと思う。読んだ直後に感想を書くのは面倒くさくて続かなそうなのが目に見ているので、あえて読んでからしばらく経った本を、あらすじなど見返したりせず己の記憶力だけを頼りにつらつらと書いていく所存である。

記念すべき一冊目は松村栄子著『僕はかぐや姫』。30代前半から20代後半くらいの年代で大学受験を経験した人間なら、間違いなく国語のセンター過去問で触れているはずの小説である。

この本の評価は、昔アマゾンのレビューで見た「思春期の少女の感情を上手く描き出せていると思う。が、裏を返せば本当にそれだけ」と言った感じの辛口レビューに全てが詰まっていると思う。まさに自分もそんな感想を抱いたし、そこにこそこの作品の魅力が詰まっていると思うのだ。なぜって聞かれると、単純に性癖にぶっ刺さったと言うだけで殊更深い話も無いのだけど。

社会生活に支障が出るレベルで生まれた性別に違和と不快感を抱えているわけでも無く、妄想から来る快楽への憧れや性欲にだけ特化して年頃の少女になりたいと願っているわけでも無い、妙な拗らせ方をした人間としては、手が届かない等身大? の少女らしさがただただ眩しいし背筋がゾクゾクしてくるのである。

過去問で初めてこの小説に触れた時から、これは絶対読まねばならん。絶対に面白いはずだ。と思い、実際読んだ感想としても、文章には上手く起こせないがとにかく人生で文章から得られた快楽のうち五本の指に入れて良いような多幸感があったのは確かだ。

ところで、この本に辿り着くまでには結構な時間が掛かった。別に大して面白い話でもないのだが、失礼ながらこの作者さん、数冊本は出しているがそんなには売れていないのか『僕はかぐや姫』は数年前の時点ですでに絶版なのである。そこまで極端に古い本では無いし、ハードカバー版と文庫版があるのにである。もしかしたら出版社が潰れたとかなのかもしれないが、そこまでは調べていないので分からない。

それはともかくだ、絶版ゆえに古本屋を探しても見つからない。大学進学後に大学図書館も当たってみたがやはりない。最終的には遠方の図書館で閉架図書として所蔵されているを発見して取り寄せてもらい、無事ありつくことができた。後にも先にも、本気で探して数年レベルで手が届かなかった本はこれぐらいなので、そういう意味でも未だに印象に強く残っているのだろう。

死ぬまでにはもう一度読んでみたいし、社会人をやっている今なら一万円程度で手に入るなら中古市場を漁ってみるのも悪くないかもしれない。

恥ずかしながら今アマゾンの中古販売リンク張ったらクッソ安かったわ。当時も中古にそこまではお金出したくないなと思っていただけなのかもしれない……。

次回予告、谷川流著『学校を出よう!』

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