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10年後の未来をつくるために。 ジャパンSDGsアクション始まります

こんにちは。ジャパンSDGsアクション推進協議会 総合プロデューサーの川廷昌弘(かわていまさひろ)です。

今日(2020年7月20日)から、2030年の未来に向けた私たちの活動が始まります。

これから多くの人と一緒に新しいことを仕掛けていきますが、スタートの今日、なぜこの活動を始めることにしたのか、10年後の自分へのメッセージも込めて記録させてください。

ある2人の女性の取り組みの話

本題に入る前に、最近僕の住む町で起きた、ある活動を紹介します。

2020年4月、新型コロナの拡大にともない、緊急事態宣言が出されました。まちから人がいなくなり、飲食店からは悲鳴が聞こえてきました。また、家族が家にいることで食事の準備が負担になっているという声も聞きました。

この状況を打破するために、2人の女性が立ち上がりました。外出自粛による食事準備の負担軽減と、飲食店支援のためのテイクアウトを結びつけた「茅ヶ崎フードアクション」が始まったのです。

2人は、まちの人たちに声をかけて飲食店の情報をまとめ、つながりのある企業から資金を集めてチラシを街中に配りました。インターネットに明るくない高齢者の方への配慮も踏まえた2人のしなやかさに僕は心が動かされました。

同時に、僕も動けばいいんだと気づけました。あれこれと無駄な妄想を繰り返す自分が恥ずかしいとか言っている場合ではなく、自分にできることをやろうと、シンプルに立ち返ることができました。

以前より、僕は、会社や非営利活動を通して持続可能な未来をつくるために行動してきました。特に、SDGsに可能性を感じてきました。これまで僕がやってきたことと、コロナ対策を結び付けられないか。そんな思いを企画に込めて、一人の県民として、神奈川県庁のみなさんに連絡をしました。

SDGsの17番目の目標は「パートナーシップで目標を達成しよう」という内容です。先程の茅ヶ崎フードアクションのような、住民きっかけではじまった取り組みが地域の飲食店の助けになるのは、まさにパートナーシップの力です。ここからヒントを得て、各地域の住民主体で始まった活動を共有し、地域の中小企業が危機を乗り越えるアイデアを得られるようなウェブサイトを作れないかと思ったのです。

翌日には、特設サイト「SDGsアクションで新型コロナウイルス感染症を乗り越えよう」が立ち上がりました。今では県内の多数の取り組みが掲載され、日々増えています。このように、SDGsは人をつないでいってくれるのだなあと、あらためて実感しました。

ひとつのウイルスが世界に広がることから学ぶべきこと

ただ、それぞれの人が持つ「持続可能な社会をつくりたい」という熱き思いは、これまでは一つの大きなうねりにはなっていませんでした。それが、このタイミングで大きく変化するのではないかと感じています。

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出典:朝日新聞 2030 SDGs【SDGs認知度調査 第6回報告】SDGs「聞いたことある」32.9% 過去最高

これは、朝日新聞が2017年の夏から年2回行っているSDGs認知度調査です。1年前から認知度の曲線に変化が出てきていますが、この夏の調査でさらにググッと上昇するのではという勝手な予感があります。

新型コロナウイルス感染症によって、自分の行動が、社会構造や経済循環、世界のすべての人に影響を与えてしまうことを、すべての人が自分ごとのように実感していますよね。 裏を返せば、そんな今だからこそ、「一人ひとりの行動で世界をよりよい社会にできると気づく人が増えているのではないか!」と感じています。

そこに、2030年までに解決するべき課題を整理したSDGsが持つ意味が重なった気がしました。目指すべき目標とSDGsが持つ機能を多くの人と分かち合い、SDGsアクションを実践すれば、新型コロナウイルス感染症を乗り越えるだけでなく「一人ひとりが主役となった未来をつくるプロジェクトを始められるのではないか!」と思えたのです。

「行動の10年」を駆け抜ける

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出典:朝日新聞 2030 SDGs【SDGs認知度調査 第6回報告】SDGs「聞いたことある」32.9% 過去最高

朝日新聞の調査では、20代を中心に認知が高く、4割を超えています。気候危機で立ち上がったスェーデンの17歳の少女グレタ・トゥーンベリさんに代表される次世代の声。私たちの世代は、次世代の声を実現するために支える立場です。

そこで私たちは、「ジャパンSDGsアクション推進協議会」を立ち上げました。この協議会は、政府、自治体、企業、研究機関、市民社会、ユースの団体からの男性8名、女性7名の15名 で構成されています。協議会のメンバーは、老若男女、性的指向を問わず、未来をつくる人たちを応援する人たちです。 この協議会の活動目的は次の通りです。

「SDGsアクションフェスティバル」に向けて、官民のあらゆるステークホルダーの参画のもと、日本におけるSDGsのさらなる認知拡大と、国連が提唱するSDGs達成に向けた「行動の 10年」として具体的な行動に移す取り組みを、「ジャパンSDGsアクション」として、一体感 をもって推進することを目的とする。

この活動目的で重要なのは、「行動の10年」です。SDGsが採択された2015年からこれまでの5年間は、SDGsってどんなものだろうという認知拡大に重点が置かれてきましたが、目標である2030年までのこれからの10年は、新しい解決策のために新たな座組みを作ったりするなど、既成の組織にとらわれない方法も使って行動していこうと、国連は呼びかけました。

私たちも、来年3月に行う予定の大規模イベント「SDGsアクションフェスティバル」に向けて、日本中の多くの方々の行動を促したいと思っています。そして、私たち自身も行動する一人でありたいと考えています。

「SDGsの壁」をこえて未来をつくりたい

この「10年後の未来をつくるためのノート」は、「ジャパンSDGsアクション」事務局の若手メンバーを中心に運営していきます。世界や日本各地の現場で活躍している多くの人を紹介するとともに、志を同じくする仲間と集う場にしたいと考えています。

「SDGs」は、これまでつながりのあった人とも、なかった人とも、どんな思いでどんなことに取り組んでいるのかを共有することができる、コミュニケーション・ツールだと思っています。未来に向けて自分にできることで役に立ちたい!とがんばってきた人たちにとっては、勇気をわかち合えるツールになると思っています。

しかし、「SDGs」という言葉に抵抗感がある人もいると思います。私たちも、大事なのは言葉ではなく、どんな未来をつくりたいか、心の中にある熱い想いだと考えています。

なので、これまでにSDGsを掲げて取り組んできた人も、SDGsという言葉はあえて使わずに社会や環境のために行動してきた人も、仲間だと思っています。もちろん、やろうという気持ちはあったけど、なかなか行動できなかった人も。

自分たちが期待できる未来に向けて、想いを共にする仲間がつながれる場所にできたらと思うのです。関わる人たちそれぞれが渦の中心となって広がっていく。そんな場所にしたいと思っています。

そしてこの活動自体、組織や個人の主体性によって支えられる、新しいムーブメントの広げ方をみんなで走りながら考えていくものになると思います。「思います」 というのは、私たちはキッカケをつくることはできましたが、これを継続して広げていく知恵や方法、そして行動は、この「10年後の未来をつくるためのノート」に訪れてくださったあなたの参加が欠かせないからです。 みなさんと一緒に、未来のためにアクションを続けていきたいと思っています。

個人の才能が地球の未来をつくる

最後に、僕がなぜSDGsに可能性を感じているか、お話します。

SDGsが何の略か、みなさんはご存知でしょうか。Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の頭文字をとって「SDGs」です。「S」はSustainable。直訳すると持続可能であること。「G」はGoal。2030年の目指 すべき世界、目標。では「D」は何でしょう?

Development。直訳すれば「開発」ですが、 何を開発するのか。都市開発や地域開発など様々ありますが、それは誰がするのか。人間ですね。SDGsの 「D」は「Human Development」のDだと僕は勝手に捉えています。

直訳すると「人間開発」ですが、 動詞のDevelopには「開封する」「解き放つ」という意味があります。つまり、一人ひとりの才能、センス、可能性を引き出すことが「Human Development」で、これがSDGsの「D」だと思うのです。SDGsは2030年の地球の未来をつくるとともに、私たち一人ひとりの可能性を開放する可能性を秘めているのです。

誰もが可能性を発揮して、安心で安全な家庭や地域や国の仕組みをつくっていきましょう。一人ひとりが自分の可能性を信じて、10年後の未来をつくるために、このノートから始めましょう!


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2020年7月
「ジャパンSDGsアクション推進協議会」
総合プロデューサー 川廷 昌弘


※ジャパンSDGsアクション推進協議会のメンバーは、以下の記事でご紹介させていただいています。