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イエズス会の修道院のお菓子

ポルトガルリスボンで取材をした日、宿泊はリスボン郊外の「カスカイス(Cascais)」にした。
カスカイスは、リスボンから西へ約25キロメートル、車ならば30分ほどの位置にある大西洋に面した海浜リゾート地。15世紀から17世紀に築かれた屈強そうな要塞「カスカイス城塞(Cidadela de Cascais)」が町を護り、大航海時代リスボンの前哨基地でもあった。何よりも私には、自分の住む町"熱海"と姉妹都市なので宿泊願望が沸いたのだが、訪れてみると美しい入り江の海浜と洗練された瀟洒な街並みで再訪したくなる魅力ある町だった。

カスカイス城塞は、「カスカイスの光の聖母マリア(Nossa Senhora da Luz de Cascais)要塞」「カスカイスの聖アントニオ塔(Torre de Santo António de Cascais)」「要塞の(旧)王宮(Palácio da Cidadela)
の三つの部分からなっている。

町の中心地となっている「10月5日広場(Praça 5 de Outubro)」の中央に14世紀半ばのポルトガル王ペドロ1世(Pedro I)の像が立ち、広場に面して市庁舎が立つ。

現在は博物館になっている「カスカイスの(旧)市庁舎(Câmara Municipal de Cascais)」。
アズレージョのタイルで描かれた聖人たちの肖像画が旧市庁舎壁面を飾る。

夕刻、リゾート地の繁華街を散策し、休憩がてらカフェを兼ねたケーキ屋(Pasteleria)にはいった。
100年近く続く老舗カフェらしく、店名も「ビジュー(Bijou 宝玉などの意)」と期待が持てそう!

カウンター代わりになっているショーウィンドーを覗くと、美味しそうなケーキ、焼き菓子が数々並ぶ。

どれにしようか? と迷っていると、スタンドに並んだ人たちから時折「ジェズイタ(Jesuita)」という言葉が聞こえてくる。たどたどしいポルトガル語でカウンターのシェフに訊いてみると、近くのイエズス会の修道会で食べている焼き菓子を模して造ったこのケーキ屋の名物菓子だという。

リスボンでは、プリンとパイ生地で焼き菓子にしたような「パステル・デ・ナタ(Pastel de Nata)」がご当地銘菓として知られ、この店でも一番人気のようだった。
ジェズイタ」は、細長い二等辺三角形をした薄い焼き菓子で、アーモンドをふんだんにつかったパリっとした食感が日本の煎餅にも似ている。「ジェズイタ」は、「パステル・デ・ナタ」と双璧をなすこのケーキ店の人気焼き菓子だ。
1個1.8ユーロ(約300円)。

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