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■66アニメ「とらドラ!」川嶋と異邦人たち

「とらドラ!」はわからない点が多く、正直戸惑っています。

竜次と大河は既に生活を共にしながら、それぞれ櫛枝、北村を恋愛対象と勘違いしています。そこへ川嶋が「自分を偽るな」と割り込んできて、川嶋は櫛枝を、大河は生徒会長を殴り倒します。

なのですが、泣きながら殴りあうほどの動機は無いわけです。

川嶋は竜次が好きなので、櫛枝のはっきりしない姿勢を批難し、大河は北村が好きなので、はぐらかす会長を批難するわけですが、一方、櫛枝は大河に竜次を譲るため、会長は北村が留学先に付いてこないように、という言い訳があります。しかしこれは双方とも動機としては弱いのではないでしょうか。

こんな人間は居ません。クラスで暴れた生徒を見捨てて転校させませんでしたか?三人の女子から好意を向けられて避けるようになった事はありませんか?

そもそも川嶋も大河も他人事、無関係ですし、櫛枝は野球に打ち込んで忘れると言い、会長はあっさり留学します。これは理由になっていない、全然違う話です。これでは私にはまるで「異邦人」のようにみえます。特に北村なんて、一緒に行けばいいだけです。

元来、私達はいくつかの仮面を演じて生きています。男性Xは息子であり夫であり父親であり大工であります。そういう属性の塊であって、それらを剥ぎ取れば何も無いのが人間の本質というものです。竜次の言う本性など元より存在しません。有れば、動物か、存在の影、みたいなものにすぎません。川嶋はよく分かって生きています。

しかし?

私が最初に言いました「わからない」とは、上記にあるような理性的判断ではなくてですね、「とらドラ!」のもつ「揺さぶり」の事です。なぜか、この作品には力を感じるのです。

「例え話」にしましょう。仮の話です。
30もすぎた男が美しい16の娘と仲良くなりました。女の子は経営者の愛人の娘。父親の顔は知っている程度。母親はとっくに結婚してめったに家には来ません。
女の子はおおきな家に一人で住んで、祖父が女の子のためにと遺してくれたかなりの遺産と父親からの送金で暮らしています。

女の子は生まれつき心臓に欠陥があります。月の半分は面会謝絶。男は毎日せっせと仕事帰りに会いに行き、寝落ちするまで楽しく話をしました。

三年ほど男はそうしました。一度だけ女の子が「なんで人は死ぬの?」と男に聞いてきました。男は何もいえませんでした。

ある日突然、ではなく、会いに行っても会えない事がよくあるので、男は一日、一週間、一ヶ月、二ヶ月と通いました。会えなくなって二た月を過ぎた頃、男は行かなくなりました。

まるで「見捨てられた大河」のような話です。

仮にこんな事があったとしたら、なぜ会えるまで通わなかったのか。女の子は楽しみに待っているのに。後悔するくらいなら行けばいい。
私はこの男を許していません。