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96アニメ「ゆるキャン△」の枝葉末節

作画も声優もすばらしく、とてもたのしく拝見しました。私は特に、なでしこをかわいらしく感じまして、視聴する時は「なでしこに会える」という気持ちになれました。こういう気分ははじめてでして、大変うれしく思います。そもそも私は文学者でして、アニメには疎遠でなぜアニメがおもしろいと言われるのか知りたく、この一年間をアニメに費やしてきたつもりです。

本作のおもしろさは作画や声、ゆるさ、といいますか優しさが本懐ですが、細部にこだわりが観られる点にもありました。その細部へのこだわりが作品にリアリティを与えていると考えます。例えば、以下に画像を入れながらですが、気付いた点を挙げていきたいと思います。



薪割り。私は実家が建築業で、薪ストーブもありますから、日常的に薪割り火起こしをします。ナタを薪に軽くたて薪を打ちつけて少しづつ割ります。今回これをバトリングというと知りました。作品中でも安全なバトリングをしていたので安心したところです。敢えて注意するなら劇場版での枝払いの際、ノコは引くときに切ると指導されていましたが、ノコの刃を見て下さい。引いて切るノコと、押して切るノコがありますから注意です。



焚き火。私は着火材に火をつけてぐるりと火を回してから置き、着火材に細い薪から置いていくという雑なやり方をします。作品中との違いは周りに水を撒いておく点でしょうか。作品中ではバケツを用意してありました。水撒きは消火後でよい気がします。



りんが乗る二輪。画像はベスパですが、視聴中はベスパか、と思ったんです。実際はヤマハビーノだそうです。ベスパですが、シートが破けやすいので、予めシートカバーを被せておくと良いです。



おじいちゃんが乗る二輪。視聴中は画像のSRだと思っていました。漢の空冷一発。ところが作品中では「大型」とありましたから、検索してみましたらトライアンフだったようです。トライアンフはピストンが重く、国内ではあまり見かけません。



ホンダN-one。作品中でちょいちょい描かれているなと思ったら、あおいが先生になって乗るようになりました。ロングストロークながら8000回転のエンジンが人気ですが、特筆すべきは太いクロスメンバーで、高い剛性感と機敏性を誇ります(オーバーステア)。



あおいが譲り受けたトレック。フレー厶の中空にラインが納入されている点と、ディスクブレーキが特徴。



なでしこのアルバイト。郵便配達の描き方が妙にリアルです。晴れでも雨でも雪でも配達。重くフラつきやすい自転車はセンタースタンドのみ。配達先でお茶をいただいて喜ぶ(かわいい)。頭も良く体力オバケのなでしこですから大丈夫なのですが、ヒヤヒヤさせられました。


以上のように一例を挙げたに過ぎませんが、細部にわたりリアルに描くに留まらず、作者のこだわり、嗜好が伺える描き方が、リアルな描写に繋がっているのだと感じます。
  リアル≠現実的
つまり赤裸々に生々しく描けば現実的ではありますが、リアルとはいえません。ゆるキャンにあるリアル感は作者の背景に押し秘されたこだわりにあります。画像で紹介したモノからは作者の嗜好やこだわりが読まれます。その背景から、読者たる私はなでしこを「会いたい」キャラ、リアルなキャラと感じたのではないでしょうか。