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■95アニメ「ヒナまつり」凡庸なるヒナ

yoh氏が「やっぱヒナまつりがギャグアニメ最強じゃないか?」で瞳とアンズが対称化され、ヒナと新田が対立構図にあると書かれていまして、yoh氏には全然敵わないのではありますが、私もヒナについて想う事を著してみようかと思います。

ヒナの親がわりの新田に言わせれば学校も家事も失敗ばかりのヒナは駄目な奴、読者(視聴者)視点からもヒナは駄目な奴に見えます。しかし視点を変えますと、私にはどうもヒナは普通の娘に見えてくるのです。学校での居眠りや家事の失敗は現実世界で日常的にある光景ですし、特にヒナが目立って駄目とは思えない。むしろ瞳やアンズがいわゆるチート、高スキルではと感じます。瞳は何をさせても一流にこなし、アンズは超能力はやや下回るものの、すばらしい人格者に成長します。

天使となったアンズ



こういった、作中での位相の乖離は常に起こっておりまして、例えば「ルパン三世」銭形警部。

まるで無能のような扱いでありますが、20年ほど前に、出典の記憶が曖昧なのですが、信濃毎日新聞コラムで「たかだかノンキャリアのICPOでありながら数カ国語をあやつり入国次第すぐさま各国要人と面談、警察でも軍隊でも引き回し、銃も腕っぷしも強く、さすがの怖いもの知らずのルパンも三人がかりでも敵わないため『あばよとっつぁん』と逃亡せざるをえない」と、銭形はとてつもない人物、世界で唯一ルパンに対抗できる人物であると指摘されていました。

ヒナも同様に、作中ではまるで駄目でありますが、じつはそうでもないのではと感じるのです。かなり凡庸な人間ではないでしょうか。他作とも比較してみますと、

「スーパーカブ」才色兼備の礼子とならんで、小熊もバイトや修学旅行、学校祭を無事にこなす才覚をみせました。そのリスクヘッジの能力は16歳という年齢を感じさせない大人びたものでした。



「ゆるキャン」全員美人で体力もあり、赤点候補の千明もちょっと勉強しただけで80点を超えます。



「ぽんのみち」五名とも文句なしに才色兼備。気立ても良い。


「ぼっち・ざ・ろっく」ぼっちのギターの腕は折り紙付き、最初は音合わせに慣れず戸惑いド下手といわれてしまいますが、克服します。そもそも身体の小さな女の子が重く扱いづらいレスポールカスタムを操る事に驚きます。


他の日常系作品を観ても、現実視点から観ればかなりハイスペックでして、ヒナの生活能力が極端に低いわけでもなく、ましてやすすんでお手伝いをして驚かせようとしているわけで、何も見ていないわけではありません。未来では命令だけをきく強力な暴力装置とされていた点を考慮すれば、学校で勉強に参加しない態度も理解されます。未来ではヒナはトップでしたから。

さらに四話では、新田がいよいよ呆れヒナを勘当する回ですが、ヒナは壺を買い差し出し許しを請います。壺とは女性器の象徴でして、無意識上重要な行為を暗示します。ヒナは能力を使わずに自らを差し出した、とも解釈できてしまう場面。

誤解を恐れず書いてしまいましたが、直ぐに性に結びつけるつもりはなくて、つまりヒナは受け入れられるであろう精一杯を示したと言いたいわけです。

こうみてきますと、ヒナは現実的に見て平均的な、市井の住人といえるのではないでしょうか。