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■83アニメ「はたらく魔王さま」異世界と違和感と佐々木

とても好きな作品でして繰り返し視聴させて頂いております。かなり間が空きましたが2期も出、嬉しく思います。

さて、2期まで観ますと、悪魔の在り方やエンテイスラの構造が明らかになります。例えば悪魔には思いやりや愛情といった感性はもともと無い、天使と人間とは同じ生命である、と説明されます。

ここまで来ますとある違和感を感じるのですね。悪魔は魔界に、天使(ガブリエルや漆原)は天界に、それぞれ疑問を持っているわけです。教会の在り方も人間にとっては敵対関係といっていいでしょう。

作中人物の殆どが自身の資質に疑念があるのです。いや、その事じたいは珍しくもない話でしょうが、佐々木千穂は異なるんですね。

異世界から来た人々は次第にニッポンに慣れ、染まり、人間らしい成長をしてゆきます。その契機のすべてに佐々木は関わり、皆を守っていまして、あたかもヘルメスのような役割を担います。

佐々木は登場人物の中では最強なんですよね。もちろん力は人間の中でも最弱でしょうけれど、魔王サタンはたじたじ、エミリアの母の媒体も務め、漆原を打ち倒すきっかけをつくり、ガブリエルを退け、まさに無双状態です。

資質や生来を疑うエンテイスラの人々が、パラレルワールドとしての人間世界に魅力されるのはこの作品のモチーフで、喜劇の成立といえますけれども、佐々木の存在が作品の昇華に大きく影響していると感じます。