The Boxer / Simon & Garfunkel
サイモンとガーファンクルの「ボクサー」です。
故郷を離れてニューヨークにやってきた少年が困難に打ちひしがれながらも闘い続ける姿が歌われてます。
歌詞は5つのヴァースから成り立っています。
第1ヴァースから第4ヴァースまでが主人公による一人称の語りとなっていますが、最終ヴァースで三人称に代わり、唐突に「ボクサー」という言葉が登場します。
このことから主人公が実際にボクサーになったわけではなく「ボクサー=大都会で戦う者の象徴」としていると考えました。
歌詞で難しかったのは”mumbles”と”promises”をどう解釈するかでした。
直訳すると「ぶつぶつ言うこと」と「約束事」になるのですが、ここでは”promises”を「見込み」とし”mumbles”はそんな大都会で成功できるいう夢物語に期待してしまう心として訳してみました。
(イントロ)
イントロはナイロン弦っぽい音の美しいギターをメインにした複数のギターから入ります。
メインは変則チューニングとかカポを使っているとか言われていますがどのように弾いているかはよくわかりません。
僕はただの貧しい少年
自分の身の上話なんて滅多にしたことがない
見込みにすぎない夢物語の誘惑に抗うことに時間を費やしてきた
どれも偽りや戯言ばかりなんだけど
人って自分に都合のいいことだけを聞いて後は聞かなかったことにしてしまうものだからね
故郷と家族を離れたとき僕はただの少年に過ぎなかった
見知らぬ人々の集団に混じり
寝静まった駅でびくびくしながら身を潜め
みすぼらしい人々が行くような貧民街を歩き回っていた
自分たちだけの場所を探して
サビの部分は、リヴァーブのかかった大音量のドラムが印象的ですが、これはボクサーのグローブとグローブがぶつかり合う音を表しているのだそうです。
日銭を求めて職探しに来たけど
仕事なんかなくて
あるのは7番街の娼婦たちからのお誘いだけ
でも正直言うと 寂しくてしかたないときはそれがとても居心地がよかったのは確かだよ
(間奏)
間奏は、ピッコロトランぺットのような管楽器がメインになっていると思っていたのですが、よく聴くと右チャンネルで大きく鳴っているのはスティールギターで左チャンネルでかすかにピッコロトランペットが鳴っていて、その組み合わせであのようなサウンドが作られているように聞こえます。
サビ
Lie la lie, lie la lie la lie la lie Lie la lie, lie la lie la lie la lie, la la lie la lie
冬支度のために服を広げていると帰ってれば良かったって思うよ
帰りたいよ
自分からすべて奪い取ろうとするニューヨークの冬とは違う故郷へ
導いてよ
故郷へ
広野に立つボクサー 闘うことが彼の仕事
怒りと恥辱で悲鳴を上げるまで
彼を打ち倒し切り刻んだ闘いの記憶を残したまま
「もうやめるよ、帰るんだ」
でも戦士はそこに踏みとどまり闘い続けている
lie la lie, lie la lie la lie la lie
逃げ出したくなるようなつらい状況にあっても、人はそこに留まる選択をしなければならない場合があります。
終盤では、そんな悲壮な決断を暗示するように深いリバーブのかかったドラム、ストリングス、管楽器が大音量で鳴り響きます。
でも最後はギターのみの穏やかな演奏に戻って聴いている者に安心感を与えて終わるという完璧なエンディングになっています。
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