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好きな曲を自分の解釈で分析する5

今回はジャズの名盤、Gary Burton のLike Minds の中からChick Corea Windows というワルツを取り上げます。
そもそも、このアルバムのメンバーがPat Metheny, Roy Haynes, Dave Holland と凄腕揃いの激アツアルバムなので捨て曲なしで通して聞いてほしいアルバムなのですが、それはそれとして、Chick Corea の素晴らしいアドリブを見ていきます。(左手は自信なし)
オリジナルの音源は下記。。

https://youtu.be/4hqgCUCB-Yk

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ソロの出だしはC7(#11)、これは曲頭のBm7 と共通のコードトーンを多く持ち、Bm7 D Major Scale の6度とみて、DのTriad でスタートします。
ポイントはBm7 をB のDrian で弾いているところでしょうか。そもそも「どのようなMode 設定で曲を作ったのか」がポイントなのですが、ここはDorian を想定したサウンド作りのようです。A Major Scale を想定するとアドリブを取りやすいです。
(このMajor Scale を想定する考え方に否定的な人が多いですが、レミファソラシドをドレミファソラシで弾いてもいいじゃないか・・)

5小節目から先はA♭のHalf Diminished ですが、ここはBのMelodic minor でアプローチしています。(A♭だとLocrianなので要するにA Major Scale を想定したらいいじゃないかと。)
Dorian → Locrian のカラーチェンジが大事なのだなと思います。その後の7小節目はchromatic のアプローチノートを挟んでいますが、B Melodic minor は保持しています。このアプローチノートがChick Corea っぽいサウンドですね。クロマチックでコードトーンにアプローチする練習は大事ですね。
8小節目の4拍目裏のAのナチュラルは、おそらく次の小節のF#m7を想定した音使いだと思います。

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次の4小節はF#m7でF#のAolian (Natural Minor)を想定しています。これはA Major Scale の6度から始まるScale なので、結局、ここまでA Major Scale を想定しても、そんなに外れない音使いはできるのではないかと思います。
フレーズとしてはChick Corea らしい16th note のモチーフが繰り返されています。左手とCall and Response (合いの手的なComping )になっている部分も素晴らしいですね。
次の4小節はD7sus4 ですが、ここはD Mixolydina Scale を想定していると思います。G Major Scaleで弾けますね。ここのアプローチもモチーフを細かく使っています。

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次の8小節はEM7(#11) ですが、ここはE のLydian Scale(B Major Scale)を想定していると思います。注目すべきは左手の4th Voicing ですね。5小節目からの8th note も細かいリズムモチーフのつなぎ合わせで下降しています。こういう細かいリズムアプローチもChick Corea の特徴ですね。これは彼のDebut 作のNow he sings, now he sobs から変わっていないと思います。すごい。
8小節目の#5 のChromatic approach がめちゃめちゃChick Corea 感出ているので、この一音のためにここまでTranscribe してきた、みたいな達成感あります。

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次のAb7とA7 のくり返しはこの曲の中での最も難しいセクションだと思います。ここでは何かスケールが想定されているかと思いましたが、スケールワイズというよりは、モチーフワイズにコードトーンを中心としたシンプルなアプローチが取られていました。このあたりの臨機応変さも必要ですね。難しいところは、シンプルにアプローチするという発想。

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次のセクション4小節は曲としての一番の魅せ場です。ここはコードは目まぐるしく移り変わりますが、想定されるスケールはB Major Scale です。なので、左手がしっかりと対応できていれば、B Ionian 一発でも様になると思います。特にナチュラルのG が入っているので、これはBebop Major Scale 的なアプローチだと考えることもできます。Bebop Scaleもちゃんと勉強しないといけない理由が分かりますね。
次の5小節からの4小節はA♭ Melodic minor でアプローチしています。ここに曲始めにも使われていたスケールが出てくるあたりの作曲が上手いですね。Root が変わってもカラーが同じなので、フィットしていると思います。ちなみに、E♭7/G の部分はG のAltered なのですが、それってA♭ Melodic minor と同じです。この部分の16th note のモチーフがChick Corea だなぁと思います。

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次のA♭m7 はRoot が下降するクリシェラインですが、スケールはG のAltered (というかずっとA♭ Melodic minor )を想定していると思います。スケールカラーが変わるのは3小節目からの三連フレーズです。ここはG のCombination of Diminished Scale を想定したフレーズです。この同じモチーフ内でのカラーチェンジは難しいですね。Chick の凄さに脱帽です。練習しよう。。
コーラス最後はソロの入りと同様にD Triad を想定した入りになっています。この辺りの入りかたも素晴らしいですね。

Windows のChick Corea の1コーラス目を見てきましたが、曲は複雑ですが、モーダルに考えるとシンプルにアドリブラインが組めるということが分かる曲だと思います。これは現代の曲にも通じる部分が多いと思いますので、スケール(モード)をどのようにフレーズ化してアドリブに取り入れていくか、Harmonic Rhythm に載せるか、という練習が必要であることが分かります。

2コーラス目もTranscribe しなければ。。。

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