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出産の記録

痛くて痛くて堪らなくて、全力をずっと絞り続けてようやく3114gの人間が産まれた。

ドキュメンタリーでは産まれた赤ちゃんを見て母親が感動の涙を流すけれど、わたしには感動が一切無かった。
もう痛くないという安堵感があるだけだった。

貧血のため体調が良くならず、母子同室は1日遅れになった。おかげで気長に時間を過ごした。

出産の前日も丸一日のんきに過ごした。
とはいえ翌日に陣痛促進剤を入れることを告知されていたので、気分は死刑囚だった。痛みが怖くて仕方なかった。

授乳をした。よく飲んでくれるし、あんまり泣かないようだ。

はじめはただの可愛い赤ちゃんという存在だった。
同室の時間が長くなっていくにつれ、顔をよく見て「この子」を認識できるようになった。

母性が後追いしてきたようだ。

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