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蟹工船

久しぶりに蟹工船を読んだ。中学生時代に先生が「この本には資本家が労働者を搾取する例が書いてある。資本家とは酷いやつだ」と指導し、資本家がお金の力で労働者を搾取している様子を学んだ気がしていた。

あらためて読み直すと、別のストーリーが見える。資本家は、酒、博打、女で身を持ち崩して明日をもしれない浮浪者を、その持っている体力を高額査定して労働力として採用する。労働に応じた賃金を払い労働者の生活を保証している。この船に乗れなかった同条件の人は既に人生を終わっているかもしれない。

資本家は、既に生活が破綻している上に、病気に罹患していたり精神的に不安定な労働者を集め、労働できる環境を提供している。『劣悪な環境で労働させた』と書かれているが、漁業船とはそうしたものだ。狭い環境をいかに住みやすく整えるのかはその住人の責に帰する。身の回りの清掃をすれば良いだけだ。

自分のすることをせずに、汚いまま放置して、全て他人任せ責任を転嫁する論調は読んでいても気持ちの良いものではない。

読書は自分の知識の範囲内のことしか理解することができない。知識や経験の積み重ねをした上で繰り返し読む必要がある。

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