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オーストラリア 飛行機

オーストラリアに、喫茶 KTのマスターとご一緒した。飛騨牛を開発担当した県の元参事だったが退官されてから、趣味のラジコンと喫茶店経営で余生を楽しんでいた。お客さんの身内がオーストラリア人と結婚されたので「遊びにおいで。」との誘いがあり、私にも「一緒にどうですか」ということだった。面白いので同行したが刺激的な旅だった。

カンタス機がシドニー空港に着陸態勢に入ったところ、窓際に座っていた私には窓の外がよく見えた。ぐんぐん迫り来る屋根を見て、人の顔が見えるくらい。私は早くオーストラリアに降りて見たいな。ワクワク気分だったが右隣に座っているマスターの顔色が悪い。気圧の変化で気分が悪いのかな、と思っているうちに飛行機が飛行場をオーバーして上昇態勢に入った。エンジンの音がやかましくなった。大きくUターンして今度は先ほどの侵入とは逆方向から着陸に入った。隣のマスターはいよいよ顔色が青くなっている。具合が悪いのか聞いても返事しない。シートベルトは締まってるし。身動きが取れない。でも無事着陸した途端、アテンダントが全員で殺虫剤を両手にカマキリのよう構えて、噴射し始めた。缶が空になるまで徹底的に噴射している。我々をゴキブリ扱いしてるなと感じた。街中を歩くと、オーストラリア人の顔や背中に大きなハエが止まっている。誰も気にしていない様子にびっくりした。殺虫剤を向ける方向が違ってるな。

少しも喋らないマスターに話しかけると、少し顔色も戻っていた「無事に着いてよかったね」という。当然のことと思っていた私は「どうしたんですか」と聞いたら先ほどの着陸は失敗で追い風で降りてきて高度が取れずに墜落していたんだそうだ。運良く上昇できたからよかったけれど、あのままだと全員死亡だったそうだ。彼はラジコンの専門家で何人も指導している人だから説得力がある。ラジコンの方が浮力も小さいので格段に操縦が難しくラジコンが操縦できれば飛行機など簡単に操縦できるそうだ。なるほど浜松にある自衛隊の航空基地でジャンボジェット機のモニター着陸装置がある。初めて挑戦して着陸できたから経験は役に立つ。


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