ロシア経済制裁⓵


ロシアのウクライナ侵攻を受け、各国が厳しい経済制裁を課しています。果たしてそれらは効果があるのか、今までの経済制裁とはどう異なるのかについて調べてみました。

現在各国が行なっている経済制裁は主に四つあります。

  1. SWIFTからの排除

  2. ロシアへの輸出規制

  3. ロシアからの輸入規制

  4. 最恵国待遇の取り消し・撤回

  5. オリガルヒの資産凍結

本記事から数回にかけてはまず一つ目のSWIFT排除を取り上げたいと思います。

1.SWIFTとは

SWIFTとは、国際的な金融取引を素早く、スムーズに行うためのメッセージ送信システムです。「国際金融のGメール」とも呼ばれます。2022年現在200を超える国・地域から11000を超える金融機関が参加し、SWIFTを利用しています。一日およそ3800万件のメッセージが送られています。

ではSWIFTはどのように使われているのでしょうか。例えば、A国にあるA銀行に口座を持つAさんが、B国にあるB銀行に口座を持つBさんに送金するとき、A銀行は SWIFTのネットワークを用いてB銀行に支払いのメッセージを送ります。SWIFT自体がお金を所有したり送金することはありません。

SWIFTに登録されている金融機関(銀行など)にはそれぞれ8つのアルファベットで作られたコードがあります。また、金融取引の内容を表す統一的なシステムがあります。これによって取引がスムーズに行うことができるようになりました。

2.SWIFTからの排除とは

今回のロシアのウクライナ侵攻を受け、3月12日に7つのロシアの銀行が、3月20日にベラルーシの3つの銀行がSWIFTから廃除されました。この決定は アメリカ、イギリス、EU、カナダなどの要請に答えたものです。SWIFTから排除されると送金などのメッセージをSWIFTを通して行えなくなるため、他の国の金融機関と直接取引をしなければならなくなり時間やコストがかかることになります。

SWIFT排除対象銀行
1.VTBバンク
2.オトクリティバンク
3.ノビコムバンク
4.プロムスビャジバンク
5.バンクロシア
6.ソブコムバンク
7.VEBバンク

EUが排除を表明した銀行にはロシアで2番目に大きいVTBバンクや、5番目に大きいオトクリティバンク、6番目に大きいプロムスビャジバンクなどが含まれています。しかしロシア最大のスベルバンクや、ロシアの天然ガス独占企業の傘下にあるガスプロムバンクは対象外となりました。これは取引停止により、原油や天然ガスの取引が滞り、EUが被る被害を考慮した結果だと思われます。

(グラフが赤くなっている銀行が今回のSWIFT排除の対象となっている銀行)

金融機関が取引の情報のやりとりをSWIFT以外の手段、ファックスや、メールなどで行うことはセキュリティー上不可能です。そのためこれらの7つの銀行は実質的に国際市場の取引ができなくなってしまったことになります。すると輸出や輸入、投資が困難になりロシア経済が大きく傾く。SWIFT排除が経済制裁の切り札と言われるのはそのためです。

次回は本当に経済へのダメージがあるのかについて取り上げたいと思います!

(この記事に書かれていることは2022年4月1日現在の情報です。)

<参考文献>

https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20220322.html

https://www.investopedia.com/articles/personal-finance/050515/how-swift-system-works.asp

https://www.pictet.co.jp/investment-information/market/today/20220302.html

https://corporatefinanceinstitute.com/resources/careers/companies/top-banks-in-russia/

https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2022/03/02/russia-s-military-aggression-against-ukraine-eu-bans-certain-russian-banks-from-swift-system-and-introduces-further-restrictions/






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