IPO時の売り出しが増加したのは、本質的な資金調達のタイミングが未上場に変わったから。
本日の日経で以下の様な記事が掲載されています。
新規株式公開(IPO)で資金調達よりベンチャーキャピタル(VC)やファンドなど大株主による株式売却に軸足を置く企業が増えている。1~9月は新規上場した50社のうち4割(20社)で大株主の一般投資家への売り出し株数が、市場で新たに株式を発行する公募増資株数より多かった。資金調達という本来の目的が薄れ、VCなど一部の限られた投資家が資金を回収する傾向が強まっている。成長資金を供給するIPO市場の意義が問われている。
確かファクトとしては、そうなのですが、この考え方は15年くらい前の考えです。
最近はIPO時の時価総額が一部の発行体でラージキャップになるものもあり、最近はVCの多様性、環境も整って来たことから、特にプラットフォーム型のベンチャーは、未上場時のシリーズ調達で大型の資金調達をして、そのマーケットを押さえてしまうケースも多くなりました。
結果としてIPOがVCやPEファンドの回収の場になっているということであり、成長資金の調達のフェーズとそこに対するプレイヤーが変化して来ているということだと思います。
むしろIPOのファイナンスで重要なのは、
上場株式比率(オファリングレシオ)です。
この言葉を初めて聞く方もいらっしゃるかもしれませんが、極めて重要な指標です。
オファリングレシオ=(公募株+売出株)/ 本件公募含む発行済株式総数)
要は発行済み株式数のどの位を市場に放出(公募・売出)すれば、適正に投資家が株を消化できるかという指標です。
ここは株価とは直接的には、関係ない部分ですが、IPOを成功させるために極めて重要なファクターとなっています。
例えば、この3年(カレンダーイヤー)の上期オファリングレシオは、昨年上期平均が27.8%、今年上期平均が 24.1%でした。
要はIPO時に約4分の1のファイナンスを行っているということになります。これはマーケット環境に関係なく、従来からこの程度の比率になっています。
要は時価総額の4分の1程度しかマーケットに放出出来ないということですね。
このレンジより下だと、株式流動性が乏しく、希少性が高まり、株価がトぶ(初値が公募価格の何倍にもなること)ことになります。
またこのレンジより上だと株が市場で消化できず、ダブつくため、公募価格を割り込む初値となってしまい、主幹事証券としてはディールコントロール出来なかったことになり、IPOファイナンスとしては評価されなくなり、対象会社の今後のファイナンス戦略に影響が及ぶ可能性があるため、十分に注意をしてください。
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