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買収ターゲットの選び方〜本来ならショートリスト先を買収するのが王道


買収ターゲットの選定には、買収基準の大枠を決定し幅広に候補先をピックアップし、ロング・リストを作成するプランニング、更に公開情報を精査し対象先を絞り込んでショート・リストを作成するスクリーニング、実際にネームクリアを行った上で先方にアプローチし、買収の意思確認を行うサウンディングの3つのフェーズがあります。

売却案件のアプローチ方法

長年の取引を通じて信頼関係にある企業が売却を申し込む場合若しくは買収を申し入れる場合、お互い知っているため情実に流され適正な判断が出来ない場合あります。

投資銀行、ファンドを通して売却案件が持ち込まれる場合は、ケースとしては一番多いですが、何らかの理由があるから売却するわけであり、極力早い段階で詳細情報を取り込み、判断する必要があります。

買い手企業が自ら買収候補となる企業を調査し、買収を申し込むケースは、自らターゲットを絞り込むため、買い手企業の戦略に沿った企業をターゲットと出来る場合が多いです。

一方でターゲット先が事業を売却してくれる保証はなく、時間がかかる場合が多いですね。

そこで、バイサイドからのターゲット先の絞り方を書いておきます。

ロングリスト、ショートリスト作成

ロングリストの作成


1.業種、分野、製品、地理的条件、投資規模、売上・資産規模等はまだ曖昧でも可です。

2.重要なのは買い手企業の戦略にマッチしているかということになります。

※ここの精査は戦略フィールドなので、また別途行います。

3.最近はSPEEDAなど、外部のデータベースが豊富なので、そこに条件をかけ、リストアップ数は数十社~100社程度まで行います。

まだこの段階ではファクトだけの抽出で結構です。

ショートリストの作成

1.次にロングリストの買収基準に、公開情報だけで点数を付け数値化し、アプローチの優先順位を決めます。
※この何を点数化するかも別途お話します。

2.買収する場合、行政認可(独禁法)が必要なものや、明確に売却意思がない企業は削除します。

3.リストアップした企業のプロファイルシートを作成します。

買収ターゲットの最終選定

再度リストアップ先を、主観的な判断や、先方社長の年齢、後継者問題、ネガティヴ情報、当事者同士の相性など、あまりロジカルでない項目も重要視しながら優先順位をつけます。

アプローチの方法ですが、あまり面識のない会社や、または競合などは、コールドコール(会社代表電話やお問い合わせメール)を行なうと、警戒されて、成功する確率は極めて低いため、共通の知人を介したり(情報管理が極めて重要です)、フィナンシャルアドバイザーを使ってアプローチする場合が多いです。


ただしフィナンシャルアドバイザーを使う時は、日系企業であること、買収目的、買い手の規模等の情報を提示して、先方に本気度を見せることが大事ですね。

そして先方も興味を持ち、お互いにネームクリアしたら、極力早い段階で当事者ミーティングを行い、買い手側の本気度を伝える必要があります。
但し、この段階では価格等の条件詳細を開示する必要はありません。

そして、可能な限りの先方の情報を徴求する必要がありますが、この段階では先方が限定的な情報しか出さない場合もあり、フィナンシャルアドバイザーと共同しながら側面調査をも行った上で、買収交渉に入る必要もあります。

この段階で決定的なネガ情報(粉飾決算、過大な未回収債権、滞留在庫、訴訟等、ノックアウトファクターと言います。)が出た場合は、即座に中止する必要あります。それ以降も資料を徴求することは損害賠償問題になる場合もありますので、注意が必要です。


【お知らせ】

8月20日にIPOのお話をさせていただきます。

ご興味ある方はぜひご参加くださいませ。





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