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【Celesアート】をオーダーしてみた【中編】

オーダーする作品のイメージを精査し膨らませた結果、選定が振り出しに戻ってしまったところまでの【前編】はこちら

続きを書こう書こうと思っているうちに実家の猫の病気が判明し、何をやっていてもなんとなく上の空……みたいな数か月を過ごし、気付けば秋になっていた。
ちなみに2023年6月30日でCelesのアート香水サービスは終了している。どれくらいの人が利用したのだろう。あまり見かけなくて他の人の感想が気になっている。

さて、続き。

選定方針を固める

《夏の夜、人魚》でのオーダーを断念することになった要因は
①作品への一方的な愛が思ったより強く、要望が細かくなりすぎた
②多面的な観方ができる作品なので、要素が膨らみすぎた
③見た目というより内容の方を注視しすぎ

だったので
・その絵に対してひとつのイメージが突出している
・何度目にしても、鮮烈でブレない見た目のインパクトがある

あたりを念頭に絵を選び直すことに。

絵を好きになるパターンは、見た目を直観的に・じっくり観ているうちに・内容を知ったから などいろいろあるけれど、今回は『見た目直観で好き』タイプの絵が良さそう。

《Virtigo》

そうしてめでたく選ばれたのがこの作品。

レオン・スピリアールト作《Vertigo》 1908年 48.0×64.0
ベルギー Mu.ZEE所蔵

レオン・スピリアールト作《Vertigo》
無知すぎると言われればそれまでだが、この画家と出会ったのは一昨年とかその前とか、その程度のつい最近なのだけども。好きすぎた。直観的に。
直観なのに好き『すぎる』はおかしいんだけど、まあいいじゃないかそんなことは。
見た瞬間『こんなの好きに決まってるだろ』みたいな画家は、来歴などを調べていると大体ほかの好きなものと繋がっている。私は嗜好がものすごくわかり易い。もっと早く知りたかったが、知れただけよしとしようではないか。

また話が逸れた。

さてこの《Vertigo》、いつ目にしても画中に引き込むような強い気配がある絵のひとつ。インパクト申し分なし。
実際の現実的な光景というより内面を絵として描き出している。 いわゆる[象徴主義]タイプの作品なので、主観的な感覚と作品が混ざり合いやすいのも香水向きと判断してオーダーシートに向かった。

遠慮なくたくさん書いた

以下はオーダーシートに書いた内容。
なかなかな文字数になったが、自分の中にある[欲しいもの]の正体を明確にしておく方がミスマッチは起きづらいはず。
なるべく明快に伝わるように長い1文ではなく、要素の少ない短文を連ねるように気を付けたつもり。(それが正解なのかどうかはわからないけれど)

・Vertigoとは直訳すれば“回転性めまい” ですが、この絵では高所にいる人物の長いスカーフが強くたなびいています。観ているとあの、急にゆらりと重心が危うくなる(めまいの)時の感覚を思い起こさせます。
・おそらく『次の段に足を掛けて振り返っているシーン』を描いていますが、手すりもなく高い段に足をかけたポーズは観ているこちらにあやうさの記憶を思い起こさせます。
・内面的かつドラマティック。実在/現実の光景ではなく、非現実的・観念的・または唐突でやや不安な夢の中のようです。
・黒と白を中心とした強いコントラストとその配置自体がやや錯視的でもあり、二重に『めまい』を表現しているように感じます。

心に突き刺さるような唄を聴いた時、普段の道で見たこともないような美しい夕暮れに遭遇した時、調べ物をしていて思わぬところ同士が繋がった時など、一瞬気が遠くなるような感覚を覚えることがあります。
ああいうのが所謂『めまいのするような』と喩えられる瞬間だと思っているのですが、《Vertigo》はたとえば貧血の症状なども含めた身体的な『めまい』の感覚を描きながらも、そういった内面的な『めまい』を表象しているのではなかろうか、というのが私の個人的な解釈と味わい方です。

黒と白の硬質さ&陰陽なら陰の雰囲気を持ちながら、静かにじわじわと高揚や緊張が湧き上がる時のような華やぎを兼ね備えた香りを希望します。
黒は大好きな色で、香水も“黒”と名前に入るものを気に入ることが多いです。しかし自分で選ぶとどうしても予定調和的になってしまうので、プロのお力で意外な出逢いを果たせたらいいなと思っています。

つぶさに載せるの結構恥ずかしいですね

今回も長くなったので、続きは【後編】で。


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