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日本のゲーム業界人に知ってほしいゲームエンジンのこと

ディズニーがゲームエンジン「Unreal Engine」を開発するEpic Gamesに、15億ドル(約2200億円)を投資したことが話題となった。

ディズニーはこの投資の理由を「『Fortnite』の相互連携、自社を含むUnreal Engineの相互運用」として説明している。ここで注目したいのが『Forrnite』もさることながら「Unreal Engine」だ。ディズニーは無論のこと、『Fortnite』を含むEpic Games社のコンテンツにもUnreal Engineが使われていることから、この投資の本旨はゲームエンジン「Unreal Engine」に見るのが妥当だろう。

一方、ゲームエンジンの話題といえば2023年に起きた「Unity」の大批判もまた記憶に新しい。Unityが2023年、新しい料金システム「Unity Runtime Fee」を発表したところ世界的にバッシングを受け、修正を余儀なくされるという一幕があった。

実はこの「ディズニーの投資」と「Unityの炎上」は、全く関係ないようで「ゲームエンジン」というものが現在立たされている岐路という点で同じテーマを共有している。もちろんUnityとUnreal Engineどちらが優れているかという問題ではなく、むしろUnityもUnreal Engineも同じように変化していくだろうという問題である。


一方、日本において「ゲームエンジン」は、道具としてその「使い方」は広く知られているものの、実際にこの道具がどのようにゲーム開発を変化させたのか、その中で特にUnityがどんな役割を果たしたのかは、あまりよく知られていない。ひいては、どうしてUnity等のゲームエンジンが変化を余儀なくされているか、という点に関しても、そこまで深く議論されているとは思えない。

そんな中、筆者は幸運にも、Unity TechnologiesとEpic Gamesの両方に取材させていただいた経験があり、メディア関係者の中では比較的ゲームエンジンについて知っていることは多いと思う。

そこで本稿は、特にゲーム開発者やゲーム業界関係者に向けて、ゲームエンジンの現在とUnityの立場、そして今後について過去から現在、そして未来を通じて検討したい。普段ゲームを遊ぶゲームファンよりは、ゲームを職業にする業界関係者向けに書かれた内容故に「メセナプラン」限定の公開となるが、もし興味がある人は購読いただけると幸いである。

(なお、本稿はEpic関係者やUnity関係者から秘密裡に聞いた情報は一切含まれず、あくまで両社から公表されている事実と、筆者個人の推測や意見のみを述べている。海外のサブスク記事にありがちな「リーク」が読めるよ、という記事では全くないし、そんな記事は書きたくもないのでその点はご了承いただきたい。)



ゲームエンジンとは何か

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