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【メセナプラン向け】ゲームゼミ過去記事アーカイブ

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#ゲームデザイン

『FF16』のゲームデザイン上の問題と、「初心者配慮」の落とし穴

先日、友人が『ファイナルファンタジー16』をクリアしたので、感想会を行うことにした。そこで色々と議論したのだが、その中で『FF16』の本質的な問題がゲームデザイン上にあるのではないかと気づいたので記事にしたい。 本題に入る前に、少し『FF16』に対する自分の見解について整理しておく。ざっとソーシャルメディアのポストを確認したところ、『FF16』はかなりの賛否両論だ。ただこの評価は実際のところ「FF」という日本の特にオタク文化と強く根付いたゲームシリーズに対する過度な自意識、

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複利のゲームメカニクス 1を2に増やすゲームの面白さの本質

『Thronefall』が大変よかった。これはウェーブごとに襲撃する敵兵に対し、櫓や城壁に兵士を配備して守りを固めるというゲームで、要するにタワーディフェンスの亜種である。このジャンルはえてして当たりはずれが激しいのだが、『Thronefall』は未だアーリーアクセスといえ製品版と言ってよい出来栄えであり、あっという間に10時間遊んでしまった。 本作の美点は多数挙げられる。まずボクセルアート風の表現がよい。建築物や兵士などが整然とわかりやすく映るし、ミニチュアのようでかわい

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ゲーム文化は今ルネサンス期を迎えている? 美術史で考えるゲームの未来

「今のゲームはつまらない」 自分の友人はこう語った。そう思うのは彼の感性が劣ったからでは?そう邪推したものの、いや、今でも本当に面白いゲームはまるで少年のように夢中で遊ぶことができるし、中には少年期に覚えなかった感動もあるという。 では何故、かつてほど夢中になれないか。恐らく今、世間で発売されるゲームがどれも似たものに見えてしまい、業界全体で「煮詰まっている」ように感じてしまったせいかもしれない。 ゲーム産業の黎明期は、テクノロジーが進歩する度に実現できるアイディアが広

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シナジー論 ついハマってしまうゲームの作り方

※10/19 リプライと『StS』禁断のコンボについての追記  『Backpack Battles』がヤバい。知り合いのゲーム開発者が「これ面白いよ」と絶賛していたのでプレイしてみたが、気付けば土日のほとんどを寝食を忘れてプレイしてしまい、見事にハマってしまったのだった。  『Backpack Battles』のルールはこうだ。  たったこれだけである。このゲームに出てくる画面は①のショップと②の戦闘しかない。しかもプレイヤーが操作するのは①、つまりショップで購入し、バ

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『アーマード・コア』はなぜ9年も続編が出なかったのか 『AC6』が成功するために必要なもの

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現代のゲームはプレイヤーに「上手さ」より「想像力」を求める

ゲームが遊ばれるようになり40年以上、ゲームはゲーマーに「上手さ」を要求し続けた。 正確なコマンド入力、鋭い反射神経、マップやパズルを覚える記憶力。 特にアーケード時代は「上手さ」こそがゲーマーという人種の絶対的なステータスだった。ゲームが上手いヤツがゲームをより長く、深く楽しめる。それが当然という時代だった。 だが今はどうだろう。据置機がメインとなって、老若男女問わずゲームを遊ぶようになり、かつての「上手さ」を求めるようなハードコアなゲームは激減した。 懇切丁寧なチ

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ゲームは「誰かをぶっ殺せる」から面白い。ゲームの暴力性を文化的に解釈する

ビデオゲームが社会的に批判される上で、大抵つつかれる点が「暴力性」だ。 人を殺す、物を盗む、そういうゲームにおける暴力こそが犯罪を助長し、子供の成長に悪影響を及ぼすのだと、日本でも世界でも批判されてきた。 特に今年の3月には、トランプ大統領が暴力的なゲームが犯罪を起こすと発言し、ホワイトハウスが暴力シーンをまとめた動画を投稿するなどして大きな話題となった。 また昨今ではesportsを取り巻く動きでも、ゲームの暴力が注目されている。オリンピックでesportsを採用する

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