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【メセナプラン向け】ゲームゼミ過去記事アーカイブ

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#ゲーム

「BF」「シージ」から「The Finals」へ 日本で知られない「環境破壊FPS」の魅力と進化を語りたい 

先日、満を持して正式サービスを開始した、マルチプレイFPS『The Finals』。筆者は本作の到来を心待ちにしており、何度かベータテストにも参加してきたが、実際、本作はすばらしい。「ゼルダ」「バルダーズゲート」など前代未聞のゲーム激戦区となった2023年だが、その中でも『The Finals』は一切引けをとらないどころか、同じほど歴史的に大きな意義のある作品だと思う。 しかし残念なのは、「The Finals」がFPS、それも「環境破壊FPS」というややニッチなジャンルに

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「クソゲー」の最大の被害者は誰なのか?

12月12日17時追記 『The Day Before』をプレイした。率直にって駄作である。Steamでは16000件レビューのうち80%が低評価という、恐らくSteam史上でも稀に見る悪評に納まっており、それ相応に批判を浴びている。 しかもこのゲームは、発売前から明らかに不穏だった。「壮大な割にえらく抽象的なコンセプト」「プロモーションだけはえらく立派」「延期に次ぐ延期」というフラグを役満状態で立てており、発売前から「大丈夫なのかこれ」という空気が予約購入者の間にはあっ

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ゲームを仕事にすることは幸せか?

「好きなことを仕事にすることは幸せか?」という、めちゃくちゃありふれた設問がある。 大体はこの後に「儲からないからやめろ」という経験論や、「好きなことを仕事にしたら嫌いになってしまう」という警鐘や(これはひろゆきが言ってたらしい)、「仕事をなめるんじゃない」という精神論に発展する。さて、こういう答えはどれも一定の理解はできるものの、筆者個人の考えとしてちょっと見方がズレてないかと思う。 結論から言うと、「幸せ」になるには「好きなこと」が何かによる、という話になる。これもあ

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『マリオワンダ―』の「おしゃべりフラワー」がいかに革命的か解説するよ

『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』(以下、マリオワンダー)をプレイした。なるほど、これは名作である。マリオ、というより2Dプラットフォームを今更になって任天堂がやるという意義を、作品のすべてを通じて達成しきったといえるだろう。 ただ今回「マリオワンダー」の中でも注目したいのが、喋る花こと「おしゃべりフラワー」である。本作は「ゾウマリオ」など新要素がありながらも、基本的には2Dプラットフォームという極めて伝統的なゲームジャンルの延長線上にある。しかし「おしゃべりフラワー」

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ゲーム文化は今ルネサンス期を迎えている? 美術史で考えるゲームの未来

「今のゲームはつまらない」 自分の友人はこう語った。そう思うのは彼の感性が劣ったからでは?そう邪推したものの、いや、今でも本当に面白いゲームはまるで少年のように夢中で遊ぶことができるし、中には少年期に覚えなかった感動もあるという。 では何故、かつてほど夢中になれないか。恐らく今、世間で発売されるゲームがどれも似たものに見えてしまい、業界全体で「煮詰まっている」ように感じてしまったせいかもしれない。 ゲーム産業の黎明期は、テクノロジーが進歩する度に実現できるアイディアが広

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シナジー論 ついハマってしまうゲームの作り方

※10/19 リプライと『StS』禁断のコンボについての追記  『Backpack Battles』がヤバい。知り合いのゲーム開発者が「これ面白いよ」と絶賛していたのでプレイしてみたが、気付けば土日のほとんどを寝食を忘れてプレイしてしまい、見事にハマってしまったのだった。  『Backpack Battles』のルールはこうだ。  たったこれだけである。このゲームに出てくる画面は①のショップと②の戦闘しかない。しかもプレイヤーが操作するのは①、つまりショップで購入し、バ

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出展側から見た「東京ゲームショウ2023」の感想

例年、東京ゲームショウはメディアとして取材することがほとんどなのだが、今年は初めて出展側として参加することになった。これは想像以上に面白い仕事で、メディア側からは見えてこないことも色々あったので、ちょっと書き留めておこうかと思う。 2023年のTGS総括まず今年の東京ゲームショウ全体の感想を少し話したい。コロナ禍やE3の開催中止、ソニーを含むプラットフォーマーたちの消極化もあって、昨今のゲームの展示会はどこも不景気感が漂っていたのであまり期待していなかったのだが、幸い今年の

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ゲハとゲームコミュニティの「貧困」

「「ゲハ」批判 2020年代のゲームビジネスを正面から考える」という記事を書いた。 まったくの自画自賛だが、よい記事が書けたと思う。記事がよいというか、誰かがいったん言語化して集積しておかなければいけないだろう文化資本の充足という点で、お忙しい業界関係者の方々に代わって労働したというのがよい(一応、公開前に何名か関係者の方の目を通して頂いている)。彼らに言わせれば、衆生の無知を指摘するは易いが、だったら何が正しいんだと訊かれるのは必定で、それにこたえるのも面倒だから最初から

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「ゲハ」批判 2020年代のゲームビジネスを正面から考える

注意:本稿は公開が遅れたことを鑑み、9月下旬まで「定期購読」の中でお読みいただけるようになっています。 ビデオゲーム、特に家庭用ゲームのビジネスについて正面から論理的に語ることが、いよいよ難しくなっている。 とりわけ日本国内ではゲームハードやハードメーカーに対する意見が、「ゲハ」と呼ばれるような、特定ゲームハード(ゲハ)に熱烈な情熱を抱くファンボーイ・アンチたちの抽象的・感情的な主張が、匿名掲示板からSNS、極めつけにまとめサイト(ゲハブログ)に扇動される形で拡散され、明

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ゲームは「コスパ」の良い趣味なのか?

※7/23いただいた反応に対するお返事を最下部に追記しました 桜井政博さんがYouTube上に投稿し続けている「桜井政博のゲーム作るには」が面白い。投稿がはじまった直後からチャンネル登録をして拝見しているが、やはり現役の、それも一流のゲーム開発者が主観的な意見を聞ける機会は本当に貴重で、大変参考になる。 その中で興味深かったのが「ゲームソフトの価値 【雑談】」だ(ローグライクのテーマも面白かったが、別の機会に)。 「(あくまで自分の見解だが)私はだいぶ安いと思っています

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「FF16ポリコレ批判」への反論 ゲーム批評のポスト・トゥルース

筆者は基本的に「ポリコレ」をめぐる議論には、距離を取ることを念頭に置いていた。少なくともゲームゼミではもう少し生産的な議論をやりたいと思ったからだ。しかし、あまりそう悠長に無視を決め込んでいても、それはそれで間違った事実が拡散してしまい、批評そのものが危ぶまれることになる、ということを『ファイナルファンタジーXVI』(以下、FF16)の流れで感じてしまった。 結論から言うと、本作『FF16』に対して「特に人種の多様性が欠けている」といった批判が寄せられているのだが、この批判

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Xboxが”本気で”目指す「ゲームクリエイター・ファースト時代」の予感

6月12日、Microsoftは「Xbox Games Showcase 2023 + Starfield Direct」(以下Showcase)と題した発表を行った。その中で、Xboxを中心に今後展開される様々なタイトルがお披露目されたのだが、その内容がとにかくすばらしく、この手の発表では経験したことのない「心に響く」想いがあった。 それは、ただ話題作が多数発表されたからではない。サラ・ボンドやフィル・スペンサーといったXboxの代表者たちが、繰り返し「ゲーム制作者を第一

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消えゆく「公園」と「子ども向けゲーム」 ──ゲームゼミ週報

ロックマンエグゼの記事を執筆した。結論から言えば、この作品は何よりも当時ローティーンにこれほど寄り添った作品は既に珍しく、その点こそ評価すべきという論旨だった。実際、筆者自身も「エグゼ世代」であり、『エグゼ』というゲームもさながら、アニメ、マンガ、おもちゃといったメディアミックスを含め、子の世界観に没頭していたのだと思う。 ただ、この記事を書いていてハッとしたことは、まさに『エグゼ』のような「子ども向けゲーム」は現在とても減っているか、もはや消滅してしまったということである

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映画マリオの「批評家 vs 観客」の構造は本当か? ──ゲームゼミ週報

今年に入って「ゲームゼミ月報」を連載している。まとまった記事にするほどでもないが、Twitterで呟くには安易に消費されかねない内容を、短いコラムとして3本ほど毎月掲載する、というものだ。 ありがたいことに読者からそこそこ好評で、その中から「どうせなら毎月3本より、毎週1本のほうが読みやすいのではないか」という感想を頂いたので、実験的に週0.5~1本ぐらいの感覚で投稿することにした。ゲームゼミに購読すると全部まとめて読めるので一層お得になるぞ(宣伝) 以上、アナウンスおし

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