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【メセナプラン向け】ゲームゼミ過去記事アーカイブ

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#ゲームレビュー

作品を批評しているのか、批評を批評しているのか ──ゲームゼミ週報

先日、筆者は「2023年に考える『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』の功績」という批評をゲームゼミに寄稿した。全部で約2万字のこの批評は、ありがたいことに大変多くの方に読んでいただくことができた。これはまったくの自画自賛だが、自分がこれまで書いた批評の中でも会心の出来だと思うし、作家として書き続けてきたことに対する自信を持てた。 ところで、今回の批評における結論……『ゼルダBotW』は西欧的なゲームデザイン(オープンワールドとイマーシブシム)と日本的なゲームデザインの「シ

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Xboxが”本気で”目指す「ゲームクリエイター・ファースト時代」の予感

6月12日、Microsoftは「Xbox Games Showcase 2023 + Starfield Direct」(以下Showcase)と題した発表を行った。その中で、Xboxを中心に今後展開される様々なタイトルがお披露目されたのだが、その内容がとにかくすばらしく、この手の発表では経験したことのない「心に響く」想いがあった。 それは、ただ話題作が多数発表されたからではない。サラ・ボンドやフィル・スペンサーといったXboxの代表者たちが、繰り返し「ゲーム制作者を第一

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PS5で発売される15本の要注目ゲームと、今後のSIEの戦略を解説する

2023年5月25日、ソニー(SIE)は“PlayStation Showcase 2023”をYouTube、Twitchで放送した。本番組ではのべ33タイトルの新作情報が公開され、PS5とPSVR2を軸にした今後のSIEの戦略も垣間見える、想像以上に興味深い内容だった。 はっきり言って、この発表はゲーム業界でほとんど波紋を呼んでいない。なんといっても日本語放送もなく、そのうえ海外タイトルが主だったので、日本の多くのゲームファンは配信を見ても「なんじゃこりゃ」と一瞥して帰

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消えゆく「公園」と「子ども向けゲーム」 ──ゲームゼミ週報

ロックマンエグゼの記事を執筆した。結論から言えば、この作品は何よりも当時ローティーンにこれほど寄り添った作品は既に珍しく、その点こそ評価すべきという論旨だった。実際、筆者自身も「エグゼ世代」であり、『エグゼ』というゲームもさながら、アニメ、マンガ、おもちゃといったメディアミックスを含め、子の世界観に没頭していたのだと思う。 ただ、この記事を書いていてハッとしたことは、まさに『エグゼ』のような「子ども向けゲーム」は現在とても減っているか、もはや消滅してしまったということである

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真のホラーゲームはルールで恐怖させる ゲーム史に残すべき傑作ホラーゲーム3選

『バイオハザード RE:4』が発売された。元々2005年に発売された『バイオハザード4』をリメイクした作品だが、バイオハザードの中でも最高傑作と名高いこの作品を、極めて丁寧かつ見事に蘇らせており、リメイクかくあるべしと言わんばかりのすばらしい作品となっている。 しかし「バイオハザード」を語る前に、そもそも「ホラーゲーム」とは何なのか。もっと言えば、ホラーゲームのように「存在しない何か」に恐怖を抱くのは何故なのか、というテーマはあまり語られてこなかったように思う。そこで前回の

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ゲームを1年で120本遊んだJiniの考える、2022年ゲームランキング

長くおまたせしてしまったが、ようやく2022年の最良のゲーム……ゲーム・オブ・ザ・イヤー(GoTY)についての記事が仕上がった。2022年は比較的豊作だったと考えており、したがってGOTY記事の執筆には多大な時間を費やすことになったものの、それは大変に幸福な作業であったといえよう。 ところで、筆者はこのゲーム・オブ・ザ・イヤーの選定にあたり、自信がある。憚らず言うなら、自分こそ2022年のビデオゲームの美をもっとも理解し、それについて語るべき存在であると公言したくなるほどの

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『マーベルスナップ』批評 運ゲーと煽りと敗北のストレス全てを「面白さ」に変えた天才すぎる発明

一般的な「ゲームコミュニティ」や「ゲーマー」では、しばしコンソールゲームこそ至高で、モバイルゲームは邪道だと考えられている。今月開催されたゲーム業界最大のアワード「The Game Awards」の最高賞も、やはりすべてコンソールゲームで、PC、何よりモバイルは含まれないのだ。 だが2022年10月にリリースされたモバイル用デジタルカードゲーム(以下、DCG)『マーベルスナップ』は、モバイルだからという理由だけで遊ばないのはもったいない傑作だった。 それはただカードゲーム

ポケモン スカーレット・バイオレット批評 ポケモン・JRPG・オープンワールドを革命する2022年最大のダークホース

今年のベストゲームは何か、それを考えると中々に悩ましい。今年は『エルデンリング』こそ大本命だと思っていたが、その後も素晴らしい作品が多数発表され、結果的に混戦となりそうだ。だが、今年最大のダークホースは何か、これは明確な答えがあり『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』である。少なくとも筆者が今年「最も期待を上回る作品」だと感じたのはこの『ポケモンSV』だった。 率直に言って、「ポケモン」はゲーマーが「おもしろい」と絶賛するようなゲームではなかった。1996年に『

ビデオゲームが下手な人がゲームレビューに向かない(かもしれない)理由

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CoD:MW2は「時代遅れのオワコン」か「唯一無二のオリジナル」か【レビュー】

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FPS史から紐解く『スプラトゥーン3』 何を模倣し、そして進化させたのか

『スプラトゥーン』は任天堂が開発する新規IPとして、恐らくマリオ、ゼルダ、どうぶつの森に並ぶ快作であり、その評価に疑う余地はない。今月発売されたばかりの『スプラトゥーン3』も発売から3日で345万本、その前作『スプラトゥーン2』も1000万本を超えるなど、任天堂作品そしてシューター作品としてもはや知らぬ者はいない。 これほど人気を集めている『スプラトゥーン』だが、一体どうして面白いと感じられるのか、その正体について批評的に語られることは実は稀だ。なぜなら、本作は任天堂が海外

「飯」をうまそうに描けるゲームは神ゲーである説――ゲーム飯批評

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『Stray』批評/ストーリー考察 猫は家畜か、それとも神か

猫が嫌いな人間など、いるだろうか? 猫の美しさ、愛おしさ、可愛らしさに人間の多くが心を奪われ、愛さずにはおられない。そんな猫を描く作品は数あれど、日本で最も有名なものといえば夏目漱石の『吾輩は猫である』だろう。一人称を「吾輩」とするちょっと尊大な猫を主人公にしたこの作品は、猫の気まぐれで偉そう、そしてちょっと臆病な目線で描かれる。この作品には夏目のはちきれんばかりの猫愛が詰め込まれている。 冒頭に引用した一文では、主人公の「吾輩」が自分より大柄な猫の「黒」に対し「吾輩は猫

『モンハンライズ:サンブレイク』批評 18年続くモンハンが「オワコン」にならない理由

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