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【メセナプラン向け】ゲームゼミ過去記事アーカイブ

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2023年11月の記事一覧

失楽園として見る「ちいかわ・島編」

X上で連載されている「ちいかわ」(作・ナガノ)の「島編」が締めくくられた。「島編」は「ちいかわ」の中でも最長のシリーズであり、その反響も最も大きかった。そしてこの「島編」こそ本作の本質が最も直截かつ批評的に現われたものになっている。 そもそも、筆者は後述する事情から「ちいかわ」を論ずるつもりはなかった。しかし、ここまで大きく話題になる以上、もう少し冷静な立場で論ずる意義は大いにあるだろうと考え、改めて「ちいかわ」とは何か、その中で「島編」は何を論じており、本作が現代社会で何

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ゲームを仕事にすることは幸せか?

「好きなことを仕事にすることは幸せか?」という、めちゃくちゃありふれた設問がある。 大体はこの後に「儲からないからやめろ」という経験論や、「好きなことを仕事にしたら嫌いになってしまう」という警鐘や(これはひろゆきが言ってたらしい)、「仕事をなめるんじゃない」という精神論に発展する。さて、こういう答えはどれも一定の理解はできるものの、筆者個人の考えとしてちょっと見方がズレてないかと思う。 結論から言うと、「幸せ」になるには「好きなこと」が何かによる、という話になる。これもあ

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『マリオワンダ―』の「おしゃべりフラワー」がいかに革命的か解説するよ

『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』(以下、マリオワンダー)をプレイした。なるほど、これは名作である。マリオ、というより2Dプラットフォームを今更になって任天堂がやるという意義を、作品のすべてを通じて達成しきったといえるだろう。 ただ今回「マリオワンダー」の中でも注目したいのが、喋る花こと「おしゃべりフラワー」である。本作は「ゾウマリオ」など新要素がありながらも、基本的には2Dプラットフォームという極めて伝統的なゲームジャンルの延長線上にある。しかし「おしゃべりフラワー」

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『FF16』のゲームデザイン上の問題と、「初心者配慮」の落とし穴

先日、友人が『ファイナルファンタジー16』をクリアしたので、感想会を行うことにした。そこで色々と議論したのだが、その中で『FF16』の本質的な問題がゲームデザイン上にあるのではないかと気づいたので記事にしたい。 本題に入る前に、少し『FF16』に対する自分の見解について整理しておく。ざっとソーシャルメディアのポストを確認したところ、『FF16』はかなりの賛否両論だ。ただこの評価は実際のところ「FF」という日本の特にオタク文化と強く根付いたゲームシリーズに対する過度な自意識、

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複利のゲームメカニクス 1を2に増やすゲームの面白さの本質

『Thronefall』が大変よかった。これはウェーブごとに襲撃する敵兵に対し、櫓や城壁に兵士を配備して守りを固めるというゲームで、要するにタワーディフェンスの亜種である。このジャンルはえてして当たりはずれが激しいのだが、『Thronefall』は未だアーリーアクセスといえ製品版と言ってよい出来栄えであり、あっという間に10時間遊んでしまった。 本作の美点は多数挙げられる。まずボクセルアート風の表現がよい。建築物や兵士などが整然とわかりやすく映るし、ミニチュアのようでかわい

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