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とても遠くて 近いところ

先日、鳥取市にいってきた。

長い長い冬が終わり、ようやく春がやってきた長男の家探しに付き合ってきた。




出雲に帰ってきて、出雲神話を調べ始めたのが90年代の半ば。あるときにふと、鳥取市に行ってみようと思い立ったことがある。

この感覚は出雲人にしかわからないだろうが、古代の地理誌「出雲国風土記」にあるように西は三瓶山(佐比売山)、東は大山(火神岳)が出雲の範囲のようにおもっているふしがある(ぼくだけでしょうか?)。

そういう意味では鳥取県米子市は出雲人にとって近しい存在といってもよい。反対に石見に当たる大田市はちょっと遠い存在になる。

地図を見てもらうと分かるように、距離的に言えば大田市(石見地方)のほうが、米子市(伯耆地方)と比べて圧倒的に近いのだけれど、文化の違いなのか、習慣の違いなのか、どうしても米子市(伯耆地方)を近く感じてしまうのは不思議としかいいようがない。

その感覚を頼りに鳥取市(因幡地方)を考えると、ぼくの中ではとても身近な場所といえる。



因幡は出雲神話で重要な役割を果たす場所である。

出雲神話によれば、若き大国主命を従者に従えた八十神達が因幡のヤカミヒメのところに求婚に行く。そこで因幡の白兎が登場し、大国主命が白兎を助けたことにより、なぜか白兎が(助けてもらったからか)「ヤカミヒメは大国主命と結婚するでしょう」と予言する。

そしてその予言の通り、ヤカミヒメは大国主命を選び、八十神達は大いに大国主命を恨み、憎むことになる。

この物語ゆえに、因幡はぼくにとって近い場所であり、ぜひ訪れてみたいと思うようになった。

そして、ある日曜の晴れた日にひとりで出かけることにした。

今から思えば、もう少し地図を見てから行けばよかったと思うのだが、そのときはふらっと思い立って行ってみようと思ったので、どれほど遠いか考えることもなく車を走らせてしまった。

うちから米子まではおよそ1時間半くらいでいくことができる。昼前の10時ごろに出発したからお昼前に米子を通り過ぎた。しかし、そこから鳥取までが長かった。米子のちょっと先ぐらいに思っていたが、なかなかたどり着けない。結局、ついてみれば出発から4時間もたっていた。つまり到着は2時過ぎになった。ということは、ここからいろいろ見て回って帰れば、既に日が暮れていることになる。とんでもないところまで来てしまったと、浅はかな自分を呪った。

それ以来、因幡は近くて遠い存在になってしまった。



あれから20年以上たった。

もうあの時のような過ちを繰り返す年齢でもない。今回はナビだってある。今では高速も繋がっている。8時過ぎに出発したのだけれど、10時過ぎには鳥取市についてしまった。たったの2時間である。こうして因幡は遠い場所から、遠くて近い場所にまた収まることができた。

これも長男のおかげだ。

春の風はぼくの苦い思い出をも吹き飛ばしてくれたようである。





今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

ぜひ白兎海岸や白兎神社も訪れてみてください。

因幡の白兎が皆さんをお出迎えするはずです♪





こちらでは出雲神話から青銅器の使い方を考えています。

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