クトゥルフと武士道         ~メカ侍的ホラーRPG観~

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※2003~2006年に雑誌『RPGemer』に掲載された記事です。

『背負い袋に~』ではありません

 こんにちは。謎のメカ侍、伊豆平成です。
 さて、今回はホラー特集ということですので、「私が『クトゥルフの呼び声』に出会って学んだこと」という、えらく個人的なお話をします。
 いや、初めは、なにかホラー小説を取りあげて『背負い袋にこの一冊!(※1)』を書くはずだったんですよ。
 怪奇特集ですから、当然ホラーなRPGに役立つような、面白い(怖い?)小説を紹介しようと思っていたんです……。
 でも、編集の神保氏が提示した条件が――。
①国内の怪奇小説
②有名なホラーは避ける
③シナリオフックや雰囲気作りに活かせる(情景描写や時代を感じさせる)作品
 という難題だったもので。
 え? どこが難題かって?
 いやあ、①と②が私にはきつすぎます……。
 読書傾向が変に偏っているのは自覚してますが、ここ十数年ほど流行しているような国内の怪奇ものやホラー小説には、ほとんど食指が動いていないのです。
 さりとて、海外のモダンホラー小説にしても、クーンツやキングぐらいしか読んでない(クーンツ先生の場合は、作家読みしてるだけで、たまたまモダンホラーが多い――という感じ)ありさま。
 でも「伊豆平成はホラーには全く興味がないの?」というと、そうでもないのです。むしろ、ホラー映画は大好です(※2)。
 子供の頃から今に至るまで、吸血鬼やら狼男やらフランケンシュタインの怪物やら、ミイラ男やら、ゾンビやらジェイソンやらフレディやらチェーンソーやら、立方体の牢獄やらジグソウやら、虫の大群を操る美少女やら、死霊やらはらわたやらスーパーマーケットやら……それぞれについて詳しくはなくとも、喜々としてその手の映画を見ております。
 最近のお気に入りは、秘かに“地獄のピタゴラスイッチ”と呼んでいる『ファイナルデスティネーション』、『デッドコースター』、『ファイナルデッドコースター』の三作品だったりもします。
 あ……でも、こうしてみると、ホラー映画でも、流行の邦画や韓国映画のホラー作品は見ていないですね。
 どうも私は、おどろおどろしい、ねちっこい、呪いやら恨みの要素が濃すぎるホラーが苦手なようです。
 どっちかというと、ブラックなユーモアを期待していて、ホラー映画は「ゲラゲラと、ないしはヒヒヒ~と笑いながら見る」のが好き(※3)なのです。そうなる前(小学校低学年ぐらいまで)は、私はかなりの怖がりで、ホラー映画そのものが好きではありませんでした。なぜか、ある時期から笑って見られるようになって……。
 そして、完全にゲラゲラ笑ってホラー映画を楽しめるようになったのは、大学生になって『クトゥルフの呼び声』をやってからではないか? そんな気がしています。
 で、③に関してなのですが……。

えっ? ホラーRPGのマスターって、プレイヤーを怖がらせなきゃいけないの?

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