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100の読書記録

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自分で読んだ本についての備忘録です。本選びの参考にどうぞ。既に読んだものを含めて百冊分になる予定。
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#わたしの本棚

見捨てられた絶望:『1984年』

小説は自由である。過去の黄金時代を描いてもよいし、来るべき暗黒を表現しても許される。『1984年』はまさに後者であった。現代の監視社会に対する「予言の書」などど評されることも多い。 しかし一方でこれを単に社会的な寓話として扱うのは間違いである。オーウェルはそのもう一つの代表作である『動物農場』から最後の『1984年』に至るまで芸術を忘れなかった。 オーウェルの巧みなところは「禁じられた恋愛」という、芸術においては定石ともいえるテーマを用いながら、全体主義という政治的に新し

何万回読んでも、いい本

枕頭の書、ということばがある。読んで字のごとく枕元に置くほどに何度も読み返すほど気に入っている本ということである。さて自分にとっての枕頭の書とは何ふだろうか。 以前の記事で自分の読書遍歴を公開したことがある。教養をひけらかすように思われても仕方ないが、後悔はない。自己犠牲だと腹をくくった。 掲載している本に関してはそれぞれ記事を書く予定である。それは自身の整理のためもあるし、それを機に原書を手に取ってくれる人が増えてくれれば、との思いがあるからだ。 しかしなかなか記事が

高貴な心で、信条通り正しく:『自省録』

行動と思考は相反するものである。それらに真剣に向き合ったことがあるならばこの両立の難しさは身に染みていることだろう。ところがこの2つは平等ではない。その良し悪しはともかく、思考なしで行動のみという生き方もできるだろう。しかしその逆は不可能である。 これは思考を放棄する理由にはならない。もし直感と経験だけをもとに行動するなら、それはほとんど動物と同じだろう。人間は行動と思考を、理性と感性を天秤にかける。その絶え間ない試みのひとつが表現されているのが『自省録』という本である。

だから童心にかえってみる:『この人を見よ』

ここのところ公的な文章を書くことばかりに四苦八苦していた。仕方のないことだとはいえ、時間をかけた割に味気ないものが出来上がっていくのは寂しくもある。文章というのは思っているよりも遊びを入れる余地が少ないものである。 アプリでもデザインでも何でもそうだが、自分で作るものにはある程度のユーモアや愛嬌を加えたいと思っている。先日リリースしたAIアプリに、わざわざキャラクターを考えて3Dモデルまで作ったのはそういう意図もある。 真剣なのはいいが真面目すぎると受け手側も窮屈である。

今まで読んだ本を全て公開します

本のリストリストの本は基本的に私が読んだことのある中で、今手元にあるものを掲載しています。読んだことはあっても図書館などで借りただけのものは省略しました。本の記事についている文章は、私のマガジンに投稿する予定の下書きです。 使い方など検索やフィルタリングが可能なので好きな分野から本を探すことができます。グループ化、サブグループ化のボタンから並びを変更することも可能です。 文庫版が存在する本は「文庫本」のタグをつけています。ほとんどの本は一般的な書店やネットで手に入るもので