マガジンのカバー画像

100の読書記録

12
自分で読んだ本についての備忘録です。本選びの参考にどうぞ。既に読んだものを含めて百冊分になる予定。
運営しているクリエイター

2022年1月の記事一覧

自分に満足しきった人々:「大衆の反逆」

どんな本かこの本はスペインの哲学者であるホセ・オルテガ・イ・ガセットによって1929年に書かれたものである。日本語訳も行われていて、文庫版も販売されている。 2020年に出版された岩波文庫版は本文に加え、「フランス人のためのプロローグ」および「イギリス人のためのエピローグ」も収録されているこのふたつの章は内容的に興味深いものでもあるので、いまから購入する方はぜひこの版をお勧めしたい。 全体で400ページ以上にもなるため、決してすぐに読めるわけではない。しかし、細かい章立て

サモア島の生き方に学ぶ:「パパラギ」

「パパラギ」とは何かこれは書店のフェアで偶然見つけた一冊だった。これはサモア島の酋長ツイアビの演説集という形で現代文化の見直しを図った作品である。変わったタイトルだが、「パパラギ」とは主に白人を指す現地の言葉である。 ちなみに、語り手である酋長はヨーロッパで暮らした経験があるといっているが、実際はこのような人物は存在しなかったというのが定説らしい。ただし著者のエーリッヒ・ジョイルマンがサモアに一年滞在していたのは事実である おそらく自分のヨーロッパでの生活を話したときの島