三島由紀夫『不道徳教育講座』
子供のころ「道徳」の授業があった。他の教科と同じように教科書が1人ずつ配られて、たいていの授業はそれを読む形だったと思う。一応感想文のようなものを書いたはずだが、内容はあまり覚えていない。確か平和や差別についてなどさまざまな話題を扱っていたはずである。
頭に残っていないのは我々子供の不手際でもあるのだが、当時の素直な印象としては、先生方もその扱いに若干困っていたように見えた。算数などと違って明確に答えを出して答案で評価するわけにもいかないので当然だろう。
私の世代は一応は