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KATRA TURANA at 於吉祥寺スターパインズカフェ(220722)

広池敦率いるKATRA TURANAの新譜発売記念ライブに行って来た(於吉祥寺スターパインズカフェ)。

とても素晴らしいライブだった!オレの音楽的知識だと精確な分析は出来ないが、チェンバーロック(ヘンリーカウやサード・イヤー・バンドなの?)を基盤にしながら、エマニュエル・パルナンからキング・クリムゾンに至る様々な音楽の宝庫が散りばめられる。声の冒険・変拍子・耽美的中世/オリエンタリズム風味等々によって特色づけられるのだろう。つまらない現世の由無し事を超えて、オリジナルにして特異な純粋空間を創造するのが音楽の一番重要な役割だと思うが、ついつい忘れがちなそんな音楽の純粋空間が立ち上がるさまは見事。二部構成のライブの休憩において映し出された80年代のライブの映像とは異なり、女性性は前面には出ない(中性的なケヴィン・エアーズ、いや、アモン・デュールIIの地獄の趣か)。アンコールの二曲は、新譜にも収められていたT.REXの有名曲のカヴァー。

ところで、オレはKATRA TURANAの音を聴いたり、ライブに行ったことがあるのだろうか。レコードはもっていない。渋谷のパルコで80年代に開催されたジョイント・ライブのチラシにその名前を見つけたことは覚えているが、行ったかどうか。頭でっかちのオレのことだから、様々な媒体に書かれたことを読んで分かったような気になっていたのかも知れない。

原マスミからタマに至るようなものがもの凄く苦手なオレは、原マスミとの共作もあるKATRA TURANAの音がそちら方面だったらすぐに会場を後にせざるを得ないだろうと思っていたら、そんなことはなくて、一時間半ほどの充実した時間を堪能できた。少なくともワンマンライブは初めてのはずで、広池さんが高校三年生のときに垣間見せてくれた溢れんばかりの才能の開花した姿を、40年ほども経ってから纏めて見ることの出来た至福の時間だった。最初の二つのアルバムの2010年に再発されたCDのライナーノーツを読むと、過去の軌跡を垣間見ることが出来るが、恐らくは40年以上持続されてきた志の美しさにも打たれるばかり(いや、ご本人は、そんな堅苦しいものではなく、軽やかに好きなことを好きなようにやってこられたのだろうが)。

ライナーノーツを読むと、結成当時は石神井公園の洋館にお住まいだったことなど書いてあって、個人的に興味をかき立てられることも多い。いずれにしろ、この機会を逃したらもうライブに行ってお姿を見ることも声を聴くこともないだろうと思い、一度限りのつもりで風邪気味のところを押して吉祥寺に赴いたが、またライブを見てみたいと嬉しい誤算。

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