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2023.7月と8月_森のようちえんへ

決めた。

「2学期から入れますよ」と、我が家にとっては青天の霹靂というかモーセの海割りというか、普通列車に乗ったと思ったらリニアだった(乗ったことはないのだけど)、みたいな、大袈裟だけど大袈裟でもなく「こちらですよ」と急に行くべき道が拓かれたというか。

いや、そう強く望んだからそうなった。
それだけのことなのかもしれない。

ということで、我が家は5月に入園した奈良市の保育園を8月末で退園して2学期から森のようちえんに娘を通わせるために動いた。そんな7月と8月の記録と採集。

今回は娘のエピソードよりも大人がどう動いたかの話がメインです。
ご了承ください。

変化のことでいうと、まず、これまでお世話になっていた保育園から認可外保育施設の利用ということになり、基本的に13時や14時ごろまでの預かりになるので、私(母親)は今までのような仕事の仕方はできないという状況になる(注:保育料無償化制度適用という視点または自分らしい生き方の選択という意味においても、今後も仕事はしていきたい。私は自営なので夜や早朝に事務作業をして、落ち着いたら少しずつヒプノも再開するつもりでいる)。こういう変化に伴っての私への影響として「できなくなること」が多くなるように今の時点では感じることもあるが、「就学前のこの時期の重要性」と天秤にかけた時に、そちらに勝る事案は見当たらなかった。

(別の視点から、本当に「できなくなる」のか?また、できなくなることより新しく手にすることも多いのでは?変化?成長?という文脈も浮上しているのでそれについてはまたどこかに残したい)



我が家が決めたのは森のようちえん ウィズ・ナチュラ という認可外保育施設で(以下「ナチュラ」と記載する)、自宅から車で約30分ほど山道を登った場所にあり、園舎はもたず、1日を過ごすフィールドは基本的には自然の中(借りている古民家や空き地や川が活動場所になる時もある)という環境である。前述の通り認可外保育施設であるが、自然保育を掲げている団体として行政の認証や連携協定を結んでいたり、環境庁の優良事例として掲載されていたりと話題性もあることが手伝って、行政や企業やメディアからの注目度が高く、視察や取材が絶えない。

そういったハード面(団体の座組みという意味)の意識の高さからくる安心感もさることながら、私が親目線で(あるいは直感で)この森のようちえんに惹かれたところの大きいひとつは、保育者の方々の安定感だった。
おそらくどんな素晴らしい行政からの認定書を見たとしても、どんなに特徴的なカリキュラムを見せられたとしても、最初の印象で保育者の方々へ信頼と安心感を寄せることができなければ、選ばなかったと思う。それは、参加をさせてもらった単発の体験たった1日だけでも充分に感じられたことだったのだけど、それは回を重ねるごとに本当に強固なものになっていった。

保育者に感じる信頼・安心感とは何か。
これについてはまだ私の中で言語化しきれないところもあり、もう少し丁寧に感じてから言葉にしたい。ただ、これだけはわかっていることとしては「本当の自分の純粋な願望に忠実であること」が鍵だということ。
在り方…内側… 私自身の関心ごとでもあり、この「月とともに生きる」で採集している日々においても大切にしていることが、ここでもつながっていた。

ナチュラでこれまで体験したことは過去の記事に記載しているのでここでは割愛して、ナチュラへの入園に向けて我が家が向き合ったことについてここに記録しておきたい。

まずは入園希望者が参加できる保育見学会。
この日は夫と私と娘で参加し、娘と私はそれまで2度ほど土曜クラスに参加の経験あり、夫ははじめてという状況だった。
どこかでも書いたが、夫に森のようちえんの話をした時に「森まで毎日通うのは大変じゃない?」とか「ママの時間がもっと少なくなるよ?」とか「冬にもし雪が降ったら山道どうなるの?」など、心配事というかリスクをまず並べて、大丈夫なの?という意見だったのだが、この日、森に入って体験したことを境に、こういったことは全く言わなくなった。彼の中で何かが腑に落ちたのだと思う。それは森で見せる娘の表情だったかもしれないし、本人が森で感じた確信めいた何かだったかもしれない。

その数週間後に入園説明会に再び家族で参加した。
この日は午前中にナチュラの代表からの設立の話やスタッフさんからの保育内容の説明などがあり、午後は保護者とスタッフが交流するカフェタイムが設けられた。お母さんチーム2つとお父さんチーム2つの計4つの輪ができて、それぞれにスタッフさんや在園児の保護者が加わる。そこで、いま感じていることを話し、聞く、貴重な時間。
帰りの道中で夫にどんな話をしたの?と聞くと、「今まで自分が関わった経営者さんたちのブレイクスルーのヒントがここにあると思ったって言った」とのことで、ここ最近で一番の「へぇえ!」が、出た。

そしてこの日、入園願書が配られた。氏名や住所、家族構成や健康状態の記載のページのあとにいくつか質問があった。
・志望動機(お母さんの記入欄・お父さんの記入欄とそれぞれにある)
・ナチュラに関わることで、あなた自身はどんな自分の可能性を見出すことができると思いますか?(お母さん・お父さんのそれぞれの記入欄)
・これから、こどもと共に体験したいことは何ですか?(お母さん・お父さんのそれぞれの記入欄)

それらに対して記入した回答の一部を備忘録としてここに残しておく。

・志望動機

私:環境が人に影響を与えることが非常に大きいことだと思っているので、子供に深く関わっていく意思が感じられる園に惹かれている。1日の大半を過ごす場所はこだわって選びたい、この大人なら関わりたいと思う人がいるところを選びたい。また、何度か実際に体験させてもらって、子供たちが自分の気持ちを話す時間を作っていることに感動した。からだ作りももちろん大事だが心を大切にできる場所であること。就学前の非常に大事な時期に、自分の心がここ(自分の中心)にあるということがあたりまえにわかる経験をして欲しいなと思った。

夫:人間のちからではコントロールできないような自然を相手に、その力を借りてさまざまなことを頭だけでなく身体でも学ぶことでこれからの時代にも折れない芯の強い人間に成長できるだろうと思った。人間の根底にある大切な部分を学ぶことができると感じた。人間のベースができるだろうこの時期に経験できることはこの先何十年分もの価値があることだと感じている。


・自分の可能性

私:親であり、他の誰かにとってのサードプレイス的に存在できる、広い視野といくつもの視点を持っていきたい。他者からの視点ではなく自分がどうありたいかを嘘をつかずにやっていくことで本当にしなやかで強い自分になっていくのだということを積み上げていきたい。

夫:自分の仕事(コンサル業)を通して関わってきた経営者のなかで壁にぶつかって挫折する方の姿を何度か目にしてきた。その大人たちは自分ですべてをコントロールしすぎようとして、少しでもそれがうまくいかないと一気に挫折してしまう。子供とともに、自分のちからではコントロールできない大自然という環境下を経験していくことで人間も自然の一部だということを再認識し、共生を感じていきたい。

(引用ここまで)

A4の用紙に夫婦ともにびっちりと書いた。
後日、スタッフさんから聞かされるのだが、この中途半端な時期に新しく入園者を迎え入れることは稀なことだそうだ。
「真剣に考えて選んでくれた心が伝わったから」だと、教えてもらった。



どんな場所でもどんな環境でも誰といても、子供は育つ。(悲しいことだけど、生きることが困難な状況といったケースは除いて)

世の中には本当に様々な選択肢があるし、何を大切にしているか、何を選ぶか(または選ばないか)、その家庭や子供の個性やタイミング、本当になにもかも違っていて、何が正解だとか何が優れているなどということは全くないし、そもそも正解もないということは周知の事実であり、大前提である。
そのうえで、我が家はこの選択をした。というだけのことなのだけど、もしかしたら来月には「やっぱり間違ってましたー」とここで報告しているかもしれない。けれどそれでもいいと思っていて、そうしたらまた考えればいいし、とにかくいま、我が家の精一杯のグッドチョイスはこれである。
そのことに後悔はないのと同時に、またここからどうぞよろしくお願いします。と、生きていくしかない。すべては必要な通りに起こっているだけのことで、毎日コツコツと正直に自分の心が震える方にすすむだけだ。


そして、私個人としての魂の喜びは、そこにある。
目の前の人たちと味わっていく、旅のようなもの。
出逢って、出会い直して。

そんな訳で、今後も森のようちえんでの私たちの姿を、またここで採集して綴っていきます。どうぞあたたかい目で見守ってください。


ちなみに...

娘の日々を見ていると、その根底にしっかりと築かれている自立の心を感じる時がある。それは、1歳半〜3歳半までお世話になった新潟の「亀田平和の園保育園」のおかげだと確信している。
ここはモンテッソーリ教育を実践している園で、歴史もある。先生たちが本当に素晴らしい。娘はここで自分のもちものを用意することやスプーンをきちんと持つことやお水を注ぐことやトイレでの排泄へ移行することなど、今でもさまざまな場面で、平和の園で身につけた動作が役に立っている。子供が使いやすい形状のものはどんなものなのかを本気で考えてくれているし、家庭との並走を丁寧にやってくれた。今でも本当に感謝している。
新潟市江南区近辺で保育園をお探しの方には自信をもっておすすめしますよ。

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ではでは、今回の長い文章を最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

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