風早ハ兎文一茶両吟/門前やの巻
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鳥の真似も老行の果
春なれや花の旅かさ花なれや 兎文
名ウ五句、春を謳歌し、旅人を行く末を寿ぐ、花の座の句。
〇
春なれや はる・なれ・や。断定の助動詞「なり」の已然形「なれ」に間投助詞「や」をつけ、詠嘆を表す。
花の旅かさ このはなは、たびかさを飾る詞。旅かさは旅人の象徴。
花なれや このはなは、希望の花。断定の助動詞「なり」の已然形「なれ」に係助詞「や」をつけ、「なればや」「なればにや」の意。
〇
とりのまねすも
おひゆきのはて
はるなれや はなの
たびかさ
はななれや
「老行の果」と「花の旅かさ」を連ね、一服の絵に仕上げた、亭主・兎文の名残り花の座の句でした。旅かさの主は、言うまでもなく一茶その人だったのです。
〇
秀句は
奈良に出る道のほど
春なれや名もなき山の薄霞 芭蕉
貞享二年「野ざらし紀行」に。
14.10.2023.Masafumi.
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