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鶴ニ乗リテ樗堂一茶両吟/初雪やの巻

     07

 飯籠釣ルすうら口の露
ほだしなる仏も人にうち呉れて      樗堂

初ウ一句、膝送りの両吟、ポンポンと運ぶきっかけとなった折り立の句。

     〇

ほだしなる ほだし・なる。ほだしは絆。もともと馬の足にからませて歩けないようにする綱だった。それが転じて、手かせ。足かせ。妨げ。さし障り。束縛するもの。の義に。なるは為る、高い敬意を表す。

仏も ほとけ、ここでは仏門に入った僧侶のこと。もは係助詞、…もまた。

人に ひと、ここでは在家の人々のこと。には格助詞。動作・作用の行われる対象・相手を表す。

うち呉れて うちくれて。うち更くの、自動詞カ行下二段活用のくれか? 意味深長にして不明。

     〇

 めしかご つるす うらぐちの つゆ

ほだしなる ほとけもひとにうちくれて

喰う事、為す事、あれもこれも人の世のこと。なんとまあ、やってることはみんな同じことなんだね、と。これ(樗堂というより)廉屋の当主、専助さんの呟きだったのかも知れないのです。

     〇

よさこい節「土佐の高知のはりまや橋で坊さん簪買うを見た」は安政時代の出来事。

ですから、樗堂一茶のあづかり知らぬ、後の世のことだったのです。

22.10.2023.Masafumi.

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