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謡ふ酒屋樗堂一茶/烟しての巻

    日常平語
     04

さゝ濁り魚とる水に竹さして
 人見て人の立かゝる也          樗堂

初オ四句、落語「野ざらし」の枕にあるような四句ぶり。

     〇

人見て ひと・みて、「茶翁聨句集」は「人見えて」と。

人の ひと・の、人が。

立かゝる たち・かゝる。

也 なり、句の切れ。次々に見物する人が増えているさま。

     〇

さゝにごり うをとるみずに たけさして

 ひとみて ひとのたちかゝる なり/

魚とるひと、見てるひと。さらに、それらを見てるひと。それが面白いと歌仙四句にしてたひと。あはっ、どうしましょう、おてんとうさまが笑ってまさぁね。

     〇

まるで、落語「野ざらし」の枕のような噺です。

江戸研究の田中優子先生は幸田露伴の釣りの話しを紹介しながら、この落語を解説していましたが、落語として構成されたのは意外と新しい時代のことだったようですね。

従って、樗堂一茶には預かり知らぬ後の代のこと。と、いうことだったのです。

以下、引用です。

『幻談』は昭和一三(一九三八)年に発表された小説である。落語で釣りの咄と言えば「野ざらし」で、本演目もそれを思い起こさせる。

また、

サイサイ節 ( 野ざらし )
この噺の中で歌われる唄は 、ノーエやサイサイが囃子言葉として入るので、ノーエ節またはサイサイ節と呼ばれた。歌詞の構成が、一番の最後と二番の最初の言葉が同じ 、しりとり様式 になっている。このことから、サイサイとは、ある動作を何度も繰り返すことを指す「再々」ではないかと思われる。横浜の野毛で、訓練中の外国兵を眺め、茶化した文句で囃し立てた「野毛山節」 が始まりと言われている。しかしもっと以前からこの手法は詞を変えて存在したと考えられる。黒船来航の一八五三年にも、伊豆韮山の代官・江川太郎左衛門が三島に近郊農家の若者を集めて、洋式軍隊の訓練をした折に「農兵節」を行進曲として使用している。 ノーエ節は農兵節が訛った 言われている。これが「富士の白雪ゃノーエ」の歌詞で始まる騒唄として三島の 花柳界で歌われ、全国的に広まった。

田中優子 TBS 落語研究会第649回 新・落語掌事典

21.11.2023.Masafumi.

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