![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/122345971/rectangle_large_type_2_5416a65a923f162deb259323f28f0b46.jpeg?width=800)
謡ふ酒屋樗堂一茶/烟しての巻
日常平語
05
人見て人の立かゝる也
べんべんと雛直ぎりし宵の内 樗堂
初オ五句、花の空き家は音をきかせて、、、
〇
べんべんと 鞭々と、縦書きだと「べんく」と、鞭打つ音。琵琶、あるいは太棹の三味線のような。(老人に唸られてるのです)
雛 ひひな、春の雛まつり。伊予では女児の初節句に雛を贈る風が残されていました。
直ぎりし ねぎり・し、可愛いい孫のためとは云え、ここで値切っちゃいけませんね。
宵の内 よひ・の・うち。そうそう、年寄りが唸ってても、埒が明かないのですから。
〇
ひとみて ひとのたちかゝる なり/
べんべんと ひひな ねぎりしよひのうち
外の喧騒を引き込み、老人の皺がれた太い声を響かせて、ときは弥生の雛祭り。
孫のためならと爺さん婆さん、何だか人が変わったようになって「いいかい、少しは気をきかせて、ちったぁまけてみたらどうなの!!」とかなんとか、もの凄い勢いで人形売りに迫っているのです。
流石に樗堂、花の空き家は<音>でうめていたのです。
〇
もっとも、寛政の世時ですから贅沢はできないのです。が、そこはそれ、お役人さんに目立たないように、年寄りたちが気張っている様子を、面白可笑しく描いていたのですね。
近代の句に
釘を打つ日陰の音の雛祭 平八
しはがれし声一間より雛の夜 七菜子
など
〇
歌に
松山
—―町に入って、八朔雛を賣る子のむれにあふ。
旅を来て
心 つゝまし。
秋の雛 買へと乞ふ子の
顔を見にけり
釈迢空「伊豫ノ國」『春のことぶれ』(歌は昭和2年、秋の雛<八朔雛>)
22.11.2023.Masafumi.
余外ながら、北条を舞台にした早坂暁シナリオ「花へんろ」シリーズに「春子の人形」がありました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?