見出し画像

仙台っ子のお口の状況

 今週は仙台歯科医師会と地域保健委員会が取りまとめた仙台市のお子様のお口の中の健康状況をご紹介したいと思います。歯と口は全身の健康の入口です。糖尿病や心不全などの全身疾患とも関連があり日常からお口を清潔に保つことでこれらの病気にも好影響を与えてくれますので、小さい頃からしっかりとした歯みがきを見つけて口腔内を健全に保つ意識を養っていくことがとても大切になります。
 さて、お子様のお口は、保護者の方の仕上げ磨きが必要な乳幼児期から自ら歯を磨くようになる学齢期に移行する時期になります。ただ、乳歯のこの時期はむし歯になりやすく、且つ進行しやすい時期です。
具体的には、1歳6か月のお子様の0.84%が既にむし歯になっていて、これが2歳6ヶ月になると3.46%と4倍以上に、さらに3歳になると10.76%とさらに3倍以上になり、3歳児では10人に1人以上がむし歯になった経験があるとのことです。
 また、むし歯が無くても1歳6ヶ月では口腔環境の良いO1型のお子様が51.2%で、口腔環境が悪くむし歯になるおそれがあるO2型のお子様が47.9%であるのに対し、2歳6ヶ月になるとO1型のお子様が35.8%、O2型のお子様が60.7%と逆転して、今後むし歯になる可能性がとても高まっています。
 1歳6ヶ月ではまだ乳歯が生え揃っていないにもかかわらず既にむし歯の有病者率が0.84%もあり、また、むし歯になっていなくても約半数のお子様は口腔環境が悪い状態になっています。これから迎える夏場の季節に熱中症対策として重要な水分補給の際には、砂糖の入ったジュースやスポーツドリンクは避けて、水やお茶で水分補給するように心掛けてください。
 2歳6ヶ月では乳歯20本が生え揃ってくる時期です。2歳6ヶ月のむし歯有病者率は3.5%で1歳6ヶ月児より4倍以上に増えています。食習慣の変化が原因で、砂糖の入ったジュースやスポーツドリンク、おやつの摂取が増えてくるからと考えられています。この時期にむし歯になりやすい奥歯の歯と歯の間や溝の部分を歯ブラシやデンタルフロスで整形つに保つように心掛けましょう。
 3歳になると乳歯が生え揃ったお子様がほとんどです。食べ物や飲み物も様々な種類が増えていき、むし歯有病者率は2歳6ヶ月児と比べてもさらに3倍以上に増えてきています。3歳くらいになると歯磨きを嫌がらずにできるようになる時期で、自分でも歯磨きを行うようになりますが、まだ上手に磨くことはできないので、必ず丁寧に仕上げ磨きをしてあげて下さい。
 前述したとおり1歳6か月児で0.84%、2歳6ヶ月児で3.46%、3歳児で10.76%のお子様が既にむし歯になった経験がありますが、さらに4歳児になると15%超、5歳児になると25%超と4人に1人がむし歯になった経験を持ってしまっています。
 4歳頃になると基本的には全ての行動が自分でできるようになる時期で、それに伴って自我が強くなって言うことを聞かなくなったり嫌がったりすることが目立つようになります。自分で行動できるようになったといっても、まだまだ丁寧な歯みがきができるわけではないので保護者による仕上げ磨きが必要になりますが、いよいよ嫌がったり反抗したりしてしまいます。
 飲食物についても自分で食べたいと思って食べるようになり、食事やおやつの時間を管理しないでいるとむし歯が増えていくおそれがあります。

 食事は朝昼晩3回、おやつは15時の1回だけにするなど規則正しい食事を心掛けるようにしましょう。
 脱灰の頻度を少なくし、歯の再石灰化の時間をしっかりと確保してむし歯になりにくい口腔内環境を作ることためにも規則正しい食事の時間が大切になります。
 さて、次の統計データは仙台っ子だけではなく宮城県全体のデータになりますが、1人が経験した永久歯のむし歯の本数の平均は、小学校6年生で0.71本と小学生の間は1人1本むし歯が無い程度ですが、中学生になると1人1本以上になり、高校生になると1人2本以上のむし歯を経験してしまっています。

DMF歯数

 また、むし歯になっているにもかかわらず治療をしていない歯を持つ未処置歯の所有者率は、小学生では10%未満であるのに対し、中学生になると2倍の19%、高校生になるとさらに増えて約21%の児童生徒が未処置歯を抱えてしまっています。

未処置歯所有者率

 DMF歯数、未処置歯所有者率ともに小学生から中学生への移行期に大幅な増加が見られますが、これは親離れなどが進むことで、歯磨きの確認などが行われなくなったり、生活習慣が乱れたりすること、また、部活動などでの水分補給にスポーツドリンクを摂取するなど様々な要因が考えられます。
 また、歯肉炎の保有率を見てみると、小学4年生になると20%を超えて、中学2年生になると30%を超えます。歯肉炎は歯ぐきが炎症を起こしている症状ですが、まだ歯ぐきだけの症状です。ただし、このまま放置していると歯を失う最大の要因である歯周病へと悪化してしまうおそれがあります。小学校高学年くらいから歯ブラシだけでなく歯間ブラシなども併せて使うことを推奨します。

宮城県歯肉炎保有率

 未処置歯所有者率や歯肉炎保有率で特徴的なのは、中学3年生から高校1年生にかけて減少していることです。これはこども医療助成が受けられる中学生のうちに歯科受診しておこうという駆け込み治療によるものです。むし歯はできるだけ早期に治療することで歯への負担が少なくすみます。歯肉炎も早期に処置をすることへ歯周病を予防できます。この様な結果からも、小さなころから定期的に歯科受診することがとても大切になります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?