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洗口液と液体ハミガキ

今回は歯みがきと合わせて用いることでよりお口の中を清潔に保つことに役立つ洗口液と液体ハミガキについてその違いとそれぞれの効果的な使用方法をご紹介します。
有名なGUMやリステリンなどの名称で売られている製品も洗口液と液体ハミガキの両方が販売されています。また洗口液も液体ハミガキも同じようなボトルに入っていてドラッグストアなどでは同じ棚に並んでいます。そのためこの2つを混同して使われている方は非常に多いそうです。
まずは一般的に販売されている洗口液ですが、これは歯みがきの後に使用します。一方、液体ハミガキは歯みがきの前に使用します。どちらも口腔内の健全化のために使用するものですが効果を発揮させるための順番が正反対です。
どちらを選ぶか悩ましいところですがが、ご自身の目的に合った製品を選んで使用方法をよく読んで使うようにしてください。
違いを見分ける方法は、製品の表や裏に貼ってあるラベルのどこかに「洗口液」、「液体歯磨(ハミガキ)」と記載されています。


液体歯磨と洗口液の表示

用途に合わせた使用方法でなければ十分な効果を期待できないのでくれぐれもお間違えのないようにラベルをしっかりと確認してから購入するようにしてください。

液体ハミガキは歯を磨く前に使用するのが効果的、洗口液は歯を磨いた後に使用するのが効果的で、歯みがき前後の違いはあってもどちらもやっぱり歯ブラシでの丁寧な歯みがきとセットで使用するのが効果的になります。

では、洗口液はなぜ歯みがきの後が良いのかというと、歯周病は細菌の塊バイオフィルムを原因とする細菌感染症で、その細菌の毒素により歯ぐきに炎症が起きたり、歯を支える骨が吸収されたりしてしまいます。

バイオフィルムは歯の表面に細菌達が集まってできる膜のことで、食後に歯みがきせずに汚れを放置するとおよそ48時間前後で形成され始めます。この膜は歯周病菌などの細菌を外敵から守るバリアとなって洗口液などに含まれる殺菌成分はバイオフィルムにより細菌に届きにくくなります。なので、洗口液を使う際はまず歯磨きをしてバイオフィルムを物理的に壊してから使うことで効果的になります。どうしても外出先で歯磨きと洗口液の両方を使う時間が無い場合に少しでも効果を発揮できる洗口液もあるので後ほどご紹介します。

ただし、洗口液を使えば歯磨きをしないで済むということには決してなりませんのでくれぐれもご注意ください。

歯周病対策として「歯みがき後に使うのがより効果的」と洗口液ですが、歯みがき後に洗口液を使える機会が多い方は次の成分が含まれた洗口液がお奨めです。

「グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)」

「セチルピリジニウム塩化物水和物(CPC)」

「ベンゼトニウム塩化物(BTC)」

これらの成分は、歯の表面やバイオフィルムの表面、お口の粘膜の表面に付着して殺菌効果を発揮する性質があります。さらに、歯の表面などに吸着することで、細菌達が集まってバイオフィルムの再形成を抑止する効果も期待できます。

ただ、バイオフィルムの内部に浸透する能力はないので、歯磨き後できる限り早く(可能なら1~2分後)使えるとベストです。歯磨き粉を洗い流すためのうがいをしたら直ぐに使用するのが良いということですね。

ご自身の生活スタイルなどにも合わせて使用するのが効果的になります。発売されている製品は歯科取扱品であるものも多いので、何を使うのがご自身の生活スタイル、口腔内の状況に見合っているのか歯科医院で案内を受けてから使用することをお奨めします。

しかし、仕事で昼休憩が短かったり忙しかったりするとどうしても歯磨きをする時間すら取れないこともあるかと思います。このような場合には次の成分が配合された洗口液やうがい薬がお奨めです。

「エッセンシャルオイル」

「ポピドンヨード」

これらの成分は、歯の表面に形成され始めたバイオフィルムの内側に浸透して、短時間で殺菌作用を発揮します。細菌達が作った膜の中に入り込んで攻撃する能力があります。

それでも、バイオフィルム内への浸透能力にも限界があり、時間が経ってバイオフィルムが成熟して厚みを増すと浸透効果は弱まります。バイオフィルム層が薄いほど浸透していけるので、やはり使用に際しては歯みがき後、あまり時間を空けない方が良いとのこと。少なくとも前回の歯みがきから5~6時間のうちに使用するのが良いそうです。

歯みがき後に使用する洗口液同様、最も効果的に使うためにもこちらのタイプでもご自身で判断せずにまずは歯科にご相談になってから利用することをお奨めします。

ただ、こちらの洗口液を用いるからと言って歯磨きをしなくても良いということには決してなりません。やはり、しっかりと歯磨きをした上で、歯磨き後の洗口液を用いる方がより口腔内が清潔になります。

最後に洗口液の選び方についてご紹介したいと思います。上記でご紹介した洗口液は歯周病予防に効果的な殺菌効果が見込まれる洗口液ですが、それ以外にも歯ぐきの炎症を抑える成分やバイオフィルムの形成を抑制する成分が入っている洗口液、むし歯予防に繋がるフッ化物(フッ素)が配合された洗口液もあります。

洗口液の選択にはご自身が何を目的に洗口液を選択するかで選択肢が変わってきます。

まずは「洗口液」か「液体ハミガキ」。次に歯周病予防に効果を発揮するタイプで、歯磨きをきちんとできる状況下で歯みがき後に使用するタイプの洗口液なのか、歯磨きをできない時に歯磨きの代わりに使用するタイプの洗口液、またはむし歯予防に効果を発揮するフッ化物配合の洗口液、歯ぐきの腫れ・炎症を抑制する洗口液、バイオフィルムの形成を抑制する洗口液など配合成分の違いを認識して選択してください。

洗口液か液体ハミガキの選択はラベルに表記があるので間違えることはないと思います。ただ、洗口液のタイプは間違えるとご自身の目的に対して効果を発揮しないタイプを選択してしまう可能性もあるので、歯科でご相談になってからご購入されることをお奨めします。

 

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