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金属アレルギー

今週は金属アレルギーについてご紹介したいと思います。むし歯治療で使われる銀歯や詰め物など、金属を口に入れる事で顔や全身にアレルギー症状を引き起こしてしまうことをいいます。金属アレルギーは腕時計や指輪などが原因となる事もあり決して口腔内だけが原因になるとは限りませんが・・・
アレルギーの原因物質は血液の循環によって全身に回ることから、体に触れている所だけでなくさまざまな部位に症状が出ることが特徴です。例えば、口内炎や歯肉炎、舌炎などの口腔内の症状だけでなく、口の周りや背中、手や足など、全身の皮膚に湿疹などの炎症が出ることもあります。
ただし、銀歯や詰め物、指輪などの金属そのものが直接的にアレルギーを引き起しているのではなく、金属から溶け出した金属イオンが体内に吸収されることがきっかけで発症してしまいます。
金属アレルギーでよくみられる症状は、「口内炎ができやすい」、「舌がピリッと痛い」といった口内炎や舌炎など口腔内の炎症のほか、唇が赤く腫れたりただれたり口唇炎や口角炎などが現れたりすることもあります。また全身のさまざまな部位にアトピー性皮膚炎のような発疹ができたり、手のひらや足の裏に水ぶくれができたりすることもあります。さらに、頭痛やめまい、慢性的な肩凝り、脱毛に繋がることもあるそうです。
治療法としては、アレルギーの原因となっている金属や、それが使われている銀歯や詰め物などが特定出来たら、まずは口の中から原因物質を完全に取り除くことから始めます。その上で仮の歯や詰め物を入れ、口腔内や全身に出ていた症状が改善するかを観察していきます。完治までに数ヶ月など時間がかかることも少なくないことから、定期的な通院が必要となることあります。症状の改善が確認出来たら、安全な被せ物の種類、素材を選んだ上で修復していきます。
前述したとおり金属アレルギーの発症は溶け出した金属イオンが原因なので、金属をイオン化させなければ金属アレルギーが発症しないともいえます。口腔内での金属のイオン化は、一つは、口腔内が不衛生な環境にあるときです。プラーク内の細菌は代謝の過程で、有機酸、アンモニア、硫化物などを作り出すので、プラークが金属の被せ物に付着していると、金属の劣化を招いて金属イオンが溶け出す原因になり金属アレルギーが発症、重症化すると考えられています。すでに金属アレルギーを発症している患者様だけでなく、予防の観点からも口腔内の清掃が大切な役割を果たしている可能性が様々な研究で分かってきています。
さらに、異なる金属の被せ物がある場合に起こるガルバニー作用という現象でも金属イオンが溶け出すので注意が必要です。
歯科金属アレルギーから頭痛や脱毛にまで影響があることがあります。歯とは一見関係なさそうな全身症状でも、意外な所に原因があるのかもしれません。このブログを読んでもしかして?と思われた方は、一度専門機関でアレルギー検査をしてみるのも一つの方法かもしれません。
また、歯科ではメタルフリーとして金属を用いない治療を行うことも可能です。金属アレルギーについて少し心配がある、お知りになりたいという方はお気軽にスタッフまでお声がけください。

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