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布の目

布目を見て、ただまっすぐに切る。大きな布をまっすぐに切ることは難しいから、とにかく時間をかけて慎重に切る。切り終えたあと、その断面を見るとやはり曲がっている。その曲線を修正しようとする。膨らみをえぐってしまう。取り返しのつかないほどにえぐらないよう、ここでも細心の注意を払う。ただ布目だけを見続けて、目が痛む。このまま布を切り続けることができるかどうか、不安に襲われる。暴走して、布をぐちゃぐちゃに切り裂いてしまう自分を想像する。しかし、そんなことは現実ではしない。この布は高価で、一反しかないもの。たったひとつの貴重な布を、私は切っているのだ。そんなことはしない。

バイクに乗っていたら、急にブレーキが効かなくなりそのまま壁に激突してしまうのではないかと思う時がある。しかし、私はバイクに乗らない。だから大丈夫なのだが、そのように加速していき止められなくなりぶつかってしまうようなこと、人生できっとあるんだろうなと考えている。

日記でもない。


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