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少女と虹のエンジェル Ⅱ

「じゃ、音楽を流して踊ろう」
パッヘルベル カノン の曲が教室に響いた、少女はゆっくりステップを踏み出した
自身の身体が軽く浮いているような感じを抱きながら、委ねていて繋がっているという新しい不思議な感覚のなか、少しずつその動きの速度を速めていった
右足を軸に回って、跳躍「わっお!」と驚きの声を思わずもらしてしまった
いつもより、高く大きな跳躍で着地も痛みが無かった
ああ、足を痛める前だってこんなにも踊れなかったわ ああ、エンジェル 踊りってほんとうに素晴らしい・・・夢中で夢中で・・・何がなんだかわからないままに・・・もうエンディング?・・・もう一度ここで、跳躍・同時に空中で廻って半身の着地・・・出来た・・・嬉しくて泪が止まらなかった

「どうだい、一緒に踊るのは良いだろう・・・最後の方は完璧じゃなか
 ったの?」
「ありがとうございます でも、いつもあなたが傍にいられるわけじゃ
 ないから・・・」
「う~ん、まあそうなんだけれど」
「こんな話し聴いたことない?肩甲骨は昔人間が天使だった時の名残だ
 って・・・」
「ああ、はいありますが・・・ほんとうなんですか?」
「ええ、ほんとうなんです」
「・・・それで、暫く僕の翼をあなたの肩甲骨に移植します」
「移植?」
「まあ、言葉的にはそうなんだけれど、手術なんかなしで簡単に着けら
 れるんです」
「ほんとうに?」
「ええ、オールマイティアタッチメントが自然に形を造形してくれます
 もっともこれ が出来るのは僕の姿が視えて、困っている人にだけ一
 時的にそれが許されるのです それが天使としての決め事なんです」
「でも、それじゃあ・・・その間あなたは」
「はい、良い機会なんで、人間達の生活をつぶさに視て勉強したいと思
 っています」
「・・・・・・・」
「これも学びです、だから心配しないで」
「わかりました それじゃお言葉に甘えます よろしくお願いします」
「それじゃ、壁に向かって立って、背中だけはだけていただけますか?
 大丈夫?」
「はい、大丈夫です」

少女は言われた通りに立ち、背中をはだけた エンジェルは翼を外して 少女の肩甲骨のカタチとサイズを手探りで測り、翼の根元を成形した

「じゃ、着けますよ 音も無く翼は少女の背に乗った」
「翼に意識を集中して、少し動かしてごらん 」
「少女はゆっくりと翼を広げた」
「うん、大丈夫みたいだね」
「さあ、それで踊ってごらん」

もう一度、音楽を用意して少女は踊り始めた

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