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GoTo継続 日本経済は旅行と飲食だけなのか?

○政治家がこだわるGoToキャンペーンの継続

日本国内の一日の新型コロナウイルス感染者数がついに2000人を超えて過去最多を更新している。欧米の感染拡大は“対岸の火事”ではない。こうした中、政府は「緊急事態宣言」を発出しようとはしない。理由は「感染を食い止めることは必要だが、経済も回していかなければならない」というもの。政府コロナ分科会の尾身会長は「緊急事態宣言なんていうのは出したくないという思いがおそらく多くの国民の願いでしょう」と述べた。果たしてそうだろうか。首都圏の数人の知事もGoToキャンペーンは経済のためには継続すべきだと主張する。キャンペーンでコロナ感染が増えたという根拠はないとしている。

〇日本で“回す経済”は旅行と飲食しかないのか?

ここで一つ言いたい。経済を回していかなければ国民生活が立ちゆかなくなるというのは分かる。しかし、「GoToトラベル」と「GoToイート」を今後も続ける必要はあるのだろうか。そもそも、今の日本の経済で回すことができるのは「旅行」と「飲食」だけなのか。「景気は気で左右される」とはよく言われることだ。GoToキャンペーンによって、旅行に行った人は増えた。また飲食店を利用する人も激増した。飲食も1人ですれば感染はしないだろうが、感染症の常識として複数人で会話を伴って食事をすれば感染リスクは高まる。中世ヨーロッパで流行したペストでは人々が感染を恐れて移動したことが拡大につながったと言われている。このままGoToキャンペーン続けることが感染拡大にはつながらないと言い切れるのだろうか。

〇必要なのはGoToキャンペーンではなく経済支援

GoToキャンペーンを続けることは「感染対策をきちんとすれば、どんどん旅行に行きなさい、飲食店を利用しなさい」というメッセージと受け取られても仕方ない。今必要なのは国民に誤解を与える経済対策よりも、実効性のある経済支援ではないのか。飲食店での食事でしか仕えないGoToイートを続けるのなら、StayHomeでのイート、つまりデリバリーやテイクアウトで使える食事券を配った方が感染対策にもつながると思う。新型コロナの患者の治療にあたっている国立国際医療研究センターの忽那賢志医師はテレビ番組で「GoToキャンペーンを一時的に中止することも必要だ」と話している。イギリスのジョンソン首相は英国版のGoToイートを始める直前に止めるという英断をした。「国民の気の緩み」が感染拡大の背景にあるという指摘がある。この“緩み”はどこから生まれているのか、今一度考える必要があるのではないか。

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