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誰のためのGoToイートなのか?

コロナ禍で売り上げが激減した飲食業界を支援しようと政府のGoToイート・キャンペーンが今月から鳴り物入りで始まった。ポイント付与事業では事前にグルメサイトで予約すれば昼500円、夜1000円が次回以降に使用できるポイントとして付与される。しかし、蓋を開けてみると焼き鳥店で1本しか注文せずに“ポイント稼ぎ”するといったケースが相次ぎ、杜撰な制度設計が露呈した。いったい誰のためのGoToイートなのだろうか?

〇GoToイートで利するのはサイト運営業者だけ

私がよく利用する庶民的なフランス料理のビストロの店主は「GoToイートに参加するつもりは全くない」と言い切った。理由はGoToイートの恩恵を受けるためには、まず「〇〇ログ」や「〇〇ナビ」といった“グルメサイト”に加入しなければならない。これが店側にとっては、相当な出費になるという。だいたい月に2万円の維持費を支払わなければならない。しかもホームページを開設するために、イニシャルコストとして4万円程度がかかるという。店の家賃を支払うこともやっとの状態なのに、そこまでの出費はできないというのだ。

〇当初からGoToイートの問題点は指摘されていた

また別の中華料理店の店主にも話を聞くと「GoToイートに参加しても店側にメリットがない」と断言する。今回のような“ポイント稼ぎ”が横行することはキャンペーンが始まる前から飲食業界では指摘されていたという。悪質なのはポイントを稼げそうな店を見つけると店の前でスマホで予約を入れて客として堂々と店に入ってきて一品だけ頼むというケースだ。店としても断りようがないという。しかし、冷静に考えれば座席は一時的ではあるにせよ埋まってしうのだから、“業務妨害”以外の何物でも無い。

〇農水省は開始1週間でGoToイート“見直し”を表明

農水省では先週、GoToイートの制度設計について、こういう事態が起こることは想定していたと認めた。そのうえで、飲食店に対して「少額での利用客は断るような対策」を求めた。場当たり的な対応とは、まさにこのことを言うのだろう。店側に落ち度はないのに、損をしてしまう。一方でサイト側はなんら損失を被ることがない。ある店主は「いっそのこと、どこの店でも使える食事券を配布して欲しかった」と嘆く。それならばサイト側に手数料を抜かれることもなく飲食店を支援することができたと思う。

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