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言語を考えるー「世界初のネパール人小学校」前編

 私はよく妻と2人で外食に行く。息子はすでに大学を卒業、東京都の小学校の教諭として働いている。2歳下の娘も大学3年生になり、一緒に食事をとることもほぼなくなった。夫婦2人なら食べ歩きでもしようと安くて美味い店を開拓している。その中の1つが杉並区高円寺南にある「アジア系無国籍料理・ゴダワリ」だ。最初は店名を「こだわり」からとったのかと思ったら、ネパールにある「ゴダワリ」という地域名だった。店を経営する男性はネパールのカトマンズの出身で都内に2店舗を構えるという才覚の持ち主だ。あえて「インド料理」や「ネパール料理」しないところが気に入っている。さらには午後7時まではハッピーアワーで酒類が安いので、いつも午後6時頃に店に入る。さて、ここからが本題。店に入るとよく小学生の高学年の少年がテーブルで勉強をしている。ここの長男だという。どんな勉強をしているのかなと聞き耳を立てると日本語のほかに、算数なども勉強しているようだ。ということは、日本人の小学校に通っているのだなと思いきや、主人に聞くと「阿佐ヶ谷にあるネパール人学校に行っている」という。在日ネパール人の数はここ数年で激増しているので、ネパール人学校なるものが日本各地にできているのかなと思った。気になって調べたところ、実は2013年4月に東京都杉並区阿佐谷に世界で初めてとなるネパール人の子どものための小学校「エベレスト・インターナショナル・スクール・ジャパン」が誕生したという。ネパールでは失業率が高く、日本での仕事を求めて多くの出稼ぎ労働者が来日している。また、日本語を学習するために留学生の数も急増している。出稼ぎ労働者は長期滞在するケースも多く、その子どもたちが増えたことから在日ネパール人の有志が資金を集めてNPOが運営する形で学校を設立した。

 学校ができたのをきっかけに周辺に住むネパール人は増え続け、今や阿佐ケ谷周辺は、さながら“ネパール・タウン”になりつつある。2015年4月にネパール大地震が発生。ネパールと周辺国で8500人を超える犠牲者を出した。この地震がネパールから日本への労働者渡航に拍車をかけた。こうした中、ネパール人小学校では、将来、子どもたちが母国に帰国することを考えて、ネパール式の教育を実践、母国の言葉や文化を教えている。世界初のネパール人学校では日本語とネパール語以外の授業はすべて英語で行っているという。(続く)

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