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追憶。「おいら」、手巻きタバコ。

 不思議な人だった。一人称は「おいら」、着物を着た座敷童、手巻きタバコ。私服はロックンロール。年齢は不詳。

「お姉さん」って感じだった。

ギター、弾き語り、初めて聞いたポエトリーリーディング、魂からの叫び、その雰囲気に歌に言葉に秒速で惹かれていく。

密談のように何度かの会話。何度かのやり取り。


 急に途絶えた連絡。繋がらない電話。留守電。


書き置き代わりのSNS。ギターの写真。



何年も待ち続けた先、数年越しのメール、何度かのやり取り、密談のように。


「この電話番号、使えなくなったら、おいらになんかあったと思って」


ほどなくして流れるアナウンス、「おかけになった電話番号は現在使われておりませんーーー」


なんとなく、思い出す、一人称「おいら」、着物を着た座敷童、手巻きタバコ。


思い出すように使いだした一人称「おいら」
少し癖のある喋り方。手巻きタバコの匂い。


追憶。「おいら」、手巻きタバコ。



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