「グランメゾン東京」第5話レビュー

「おいしいものを作ってる。間違ったことはしてない」
いや〜〜〜〜激アツの展開になってきましたね〜〜! 今回の主役は平古くん。終盤で恋人と尾花をどっちとるか!?なんてお決まりな展開を予想していたけど、本編ではあっさりと恋人を切ってグランメゾン東京のお手伝いを開始。そして、ナッツ混入事件の犯人(というか過失による混入)が平古くんであったことも判明。風評被害(?)によって店に客が来なくなったために、印象回復のためにフードフェスを行脚するも毎度恒例江藤オーナーの妨害によって挫折。しかしその夜、平古くんがエスコフィエ時代に作っていたまかない料理を尾花が作る。しかも、その中にはナッツオイルが。先週のウニの下準備との合わせ技で、平古くんがずっと抱え続けてきた罪の意識と和解し、新しい道へと歩む活力を手に入れる。しかし、平古くんが選んだのは、「gaku」だった…。
 覚醒した平古くんは、尾花の下につくのではなく、「gaku」の中で尾花とフレンチで真っ向から相対し、師弟対決の様相を呈しながら後半戦に突入する。いい展開!
 最高だったのはgakuの制服に身を包んだ平古くんを見たときの尾花の反応。躊躇することなく笑顔を見せて、「おもしろいことになってきたじゃん」と言い放つ。絶対的な自信と、プライドを持つ尾花ならではの反応だと思う(私も平古くんが出てきた瞬間に同じこと言いました)。
 思い出すのはあだち充「H2」。肘の故障を医師から宣告された比呂は野球部のない高校に入学するも、入学後に医師の診断が間違いだったことが判明。野球部を作るために中学時代の比呂のチームメイト、英雄が所属する明和一高校と対戦し、昔チームメイトだった二人が高校を舞台にぶつかりあう。結果は明和一が勝ち、英雄から明和一へ転校してくるように誘うが、比呂は「英雄に投げる楽しさを覚えちまった」と言って、誘いを断る…。
 昔、熱い関係に結ばれていた二人が、ライバルとなって相対するっていう展開は古今東西いつになっても熱いですよねぇ〜〜〜。「グランメゾン」も、5話という長い時間をかけて平古くんと尾花の固く、強い絆を描写したおかげで、師弟対決の構図もより面白く見ることができる。

 この話の脚本の弱いところは、問題の解決の手段として政治力が多様されるってことにある。正直、最終的にTOP50の店にグランメゾンが選ばれたから風評被害を払拭することができたけど、結局フードフェスに参加した効果はなかったのではないか??という疑問は拭えない。おそらく、スイーツを褒めてた外国人4人組がTOP50を選ぶ審査員だったのだと思うけど、江藤オーナーの妨害が入るっていう予想もできたと思うし、野外フェスの中で一つでもミスをすればまた風評被害が強まるっていう恐れもあったし、終わってみればフェスに参加したことはリスクが高すぎたな、と思う。
 ジビエ食材の仕入れルートを確保したのは間違いなく尾花の腕によるものだからよかったけど、開業資金だの鹿肉の仕入れだのは文字通り政治の力だったし(今回でその政治とはおさらば)、権威のある機関が「おいしいね」と言ったら事態が一変する光景を何度も見せられるとどっちかっていうとグランメゾンの努力の勝利というよりは権威主義の補強っていう感も否めない。もちろん、権威が声をかける少ないチャンスを逃さないためには準備と努力は必要なわけだけど。

 てな感じで、怒涛の後半戦! 丹後さんが「今度は店の力だけの勝負だ」と言ってしまったあとに、江藤オーナーはこの後出る幕はあるのか!? 勝負の行方はいかに!!

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