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犬山散策① 城下町、犬山城編

たとえば、庄九郎は、又右衛門に美濃可児郡兼山の烏峰に、一城を建てさせた。
この城は後年、犬山に移され、その遺構はいま日本ラインの犬山城天守閣として残っている。
「百世に残る」
と庄九郎のいったことばは、あたったわけである。

『国盗り物語(一〜四) 合本版』


梯子のような急勾配の階段を上がった先にあるもの。

眼下に広がる濃尾平野と、豊かな水を湛える木曽川。
青い空。
そして、頬を冷やす優しい風。


愛知県犬山市

2024年6月中旬。
梅雨入り前だというのに、その日の気温は30度を超え、日中の日差しは肌を刺すように痛い。ただ立っているだけで、じわじわと額に汗が滲んでくる。

そんな日に訪れた、愛知県犬山市。

今回犬山を訪れた最大の目的は、木曽川鵜飼を見ることでした。
予約している夜の木曽川鵜飼までに十分時間があるので、日中は犬山城周辺を散策。


名古屋駅から名鉄電車で約30分。
犬山市は、愛知県の最北端に位置し、木曽川を挟み岐阜県の県境にある。
農業や工業などの産業が盛んですが、多彩な歴史的文化財を巡る観光も魅力的な街。

東之宮古墳や青塚古墳などがあり、古代に思いを馳せるのも良し。
国宝犬山城や城下町、鵜飼を通して戦国時代から江戸時代にかけての文化を体感するのも良し。
とくに名鉄犬山駅から名鉄犬山遊園駅までに主要な観光地が集約されているので、徒歩でのんびり観光することが出来ます。

★…今回訪れたところ (Googleマップ参照)


城下町

犬山城を望む、まさに「城下町」

犬山城下町のメインストリートは、高山市の古い街並みや伊勢神宮前のおかげ横丁に比べると小さいものの、国宝犬山城が望める、文字通りの「城下町」です。

江戸時代の町割りがそのまま残されており、「総構え」と呼ばれる城郭構造が特徴とのこと。
総構えとは、城下を土塁や石垣などの防御設備で囲った区画(構造)のことです。
犬山の町は、犬山城創建時に、街の中心部に町人街を、その周囲を囲うように侍町を配置し、さらに城下町の外周を堀や土塁等で取り囲み外敵からの侵入を防ぐ総構えが作られたのだそうです。

今ではたくさんの飲食店も連なり、気軽に散策と食べ歩きを楽しめます。
街歩きで注意すべきは、車一台が通れるくらいの道幅ながら、生活道路なので“車に注意”といったところかな。
けれど訪ねたのが日曜日だったからか、整備員も配置されていたので、特に「危ないな」と思ったことはなかったです。

どんでん館にて犬山祭の展示を見学。刺繍や装飾が素晴らしかった。

まずは、どんでん館で犬山祭について見学。
犬山祭は毎年4月の第1土曜日・日曜日に開催され、ユネスコ無形遺産に登録されている(平成28年 全国33件の「山・鉾・屋台行事」の一つ)お祭り。
勇壮な山車が見られるとのことなので、次は犬山祭りに合わせて犬山観光に訪れるのもいいかも。
どんでん館は小さい資料館ながらも、山車3台のほか、犬山祭の映像や法被などの資料を見ることができました。

どんでん館を見た後は、城下町で食べ歩き。

蕎麦正まつい犬山店さんの、ざる蕎麦(並)。歯応えがあって美味しかった。
山田屋五平餅さんの五平餅。ごまだれが香ばしくて、みたらし団子みたいに小ぶりのサイズ。
山田屋五平餅さんの屋根の上。五平餅持っていて可愛らしい。

昼食にお蕎麦をいただいたり、五平餅をいただいたり。
私的に五平餅と言いえば「わらじ型」のものに馴染みがあるので、お団子型のものは何回食べても新鮮な気持ちになる。(でも、ちょっと物足りない感じでもある)
写真を撮り忘れたけれど、木曽川商店さんで鮎の塩焼きに齧り付いたり。
美味しそうなスイーツのお店もあるので、目移りして大変。
ちょこっとづつ色んな種類を食べられるのも、食べ歩きの醍醐味ですよね。


国宝犬山城

お腹を満たした後、三光稲荷神社と針鋼神社を抜けて犬山城へ。
坂道を登った先にあるので食後の良い運動になりますが、運動不足には堪える場所にあります。

木曽川から見た犬山城。山の上にそびえる天守の存在感がすごい。

国宝に指定される天守は全国に5か所ありますが、犬山城はそのうちの一つ。
天文6年(1537) 織田信長の叔父 信康が築城したと言われています。
国宝指定の天守は、現存する最古の様式であり、木曽川のほとりの小高い山の上に建てられた天守最上階からは濃尾平野が一望できる。

でもね、天守まで行くのが、まぁ大変。
お城自体は大きくないのですが、昔の城郭によくある急勾配の階段が、こちらの体力を容赦なく削ってきます。
階段の一段一段も高さがあるので、足腰・膝に不安がある方は厳しいかも。

ちょっと分かりづらいですが、梯子を登る感覚になる急勾配の階段

城内には小牧長久手の合戦で実際に着用されたという鎧や、城の模型、城が軍事施設であったと分かる石落とし(真下に居る敵を攻撃するための設備)を見ることができる。
防御施設としての城なので窓が小さく日差しは入らないので、城内は薄暗い。
華美な装飾がないのが、より城の役割を表しているようで、とても興味深かったです。

観光客の列に沿って4階まで昇り、登った先にある景色は、まさに絶景。

望楼からの眺め

私を含め観光客が多いので、望楼の周り縁(軒下にある、ベランダみたいな部分)を一周したら帰路に着くことになるので滞在時間は短いのだけれど。
それでも登った甲斐があったと思える景色を見ることが出来ました。
望楼からは岐阜県の金華山(斎藤道山や織田信長に縁がある岐阜城がある山)も望むことができるので、犬山城から周辺諸藩にに睨みを利かせていたのかなと思うと、歴史好きには堪らない場所なのかもしれない。
あまり歴史には詳しくないけれど、昔の建物や文化財を見るのが好きな私にとって、もう楽しい!
この空間は何に使ったのかな、とか。
城主もこの急な階段を昇ったのかな、とか。
どうでもいいことだけれど掃除が大変そうだな、とか妄想が捗ります。


犬山城拝観の(個人的な)注意事項としては、まず中に入るのに履き物を脱ぐので、靴下の持参はあったほうがいいと思います。
文化財保護もそうですが、大勢の人が裸足で歩いていたりするので、(衛生的にも)汚れるかなと思うので。
あとは、階段に注意。
先ほども言ったように階段が急なので、足腰・膝に不安がある方はちょっと難しいかもしれません。
エレベーターがないですしね。
また、身長の高い低いに限らず、階段のところに梁があったりするので、階段昇降の際は頭上注意です(ちゃんとお知らせが貼ってありました)。

ひとまずここまで。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
長くなりましたが、愛知県犬山市(城下町と犬山城)の散策について、ちょっとでも参考になれば嬉しいです。
みなさま良い一日をお過ごしくださいませ。

Izumi

【引用】
書名: 国盗り物語(一〜四) 合本版 (電子書籍)
著者: 司馬遼太郎
発行: 株式会社新潮社
<敬称略>

【参考】

【訪れた場所】※ホームページがあった場所だけリンク貼ります。


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