古川いづみ(釋清恵)

お寺の広報部「てとら」、地域活動「なむなむ寺」を運営しています。30代半ばで仏教に出あい、2023年に西本願寺(浄土真宗本願寺派総本山)にて帰敬式を受式。法名「釋清恵」をいただきました。仏教の教えにふれて、日々思うところを発信していきます。

古川いづみ(釋清恵)

お寺の広報部「てとら」、地域活動「なむなむ寺」を運営しています。30代半ばで仏教に出あい、2023年に西本願寺(浄土真宗本願寺派総本山)にて帰敬式を受式。法名「釋清恵」をいただきました。仏教の教えにふれて、日々思うところを発信していきます。

最近の記事

葬儀から、地域の未来を考える

このところ、ずっと考えている「葬儀」について、いま自分になりに思うことを書いてみます。 葬儀のカタチの変化 言うまでもないことですが、葬儀や法事のカタチは時代の変化にともなってどんどん変わっていっています。個人的な経験からもそのことを実感していますし、いろいろな本や記事にも書かれています。 近代の変化をざっくり言うと ・地域の人たちが集まり、葬列を組んでとむらった時代(『ごんぎつね』の葬儀シーンのイメージ) ↓ ・家族やおおぜいの親せき、友人や勤め先の人などとともに見送

    • まだまだまだまだ、わからない。

      先日、広島仏教学院のオンライン講座で「法話実演」をさせていただきました。 その日の講座を視聴していたのが何名だったかはわかりませんが、聞くところによると受講登録者は400名~(記憶違いだったらすみません)おられるとのこと。少なくとも、人生で一番たくさんの人の前で「発表」をしたことになると思います。 しかも、尊敬する僧侶の先生方が講評してくださるとのことで、原稿を考えるのにかなり苦労をしました。 浄土真宗本願寺派の法話では、かならず「ご讃題」という話のテーマとなる一文を聖典か

      • 見てみぬふりが、幸せのコツ

        「まあ、イライラすることもあるけど、見ないようにしてる。あはは!」 元気な人のコツって、これかなあと思います。 以前、PTAで一緒だったある保護者さんはとてもチャーミングな人でした。人懐こくいつもニコニコ。子供にも優しくて、イライラすることないのかなあと思って聞いてみたところ、上のような答えでした。 もちろんその人だって、子供に対して腹の立つことはあるはずだけど、まあいっかあって切り替えるのが上手なんだと思います。何に対してもそうですが、細かいことを気にし始めるとキリが

        • 人生から「意味」を取り除く。

          季節のめぐり 月の満ち欠け 飛花落葉 すべては宇宙の理をあらわしている この世のすべてが法を説いている 朝、鳥の鳴き声を聞いて、ふとそう思いました。 諸行無常 という言葉はあまりに有名。 仏教の根本思想である四法印のひとつで すべてのものは移り変わっていく、という真理です。 最近、こんな壮大な世界のなかで、自分一人の都合ばかり考えて 悩んだり苦しんだりしていたことに気が付きました。 私は、毎朝とはいきませんが、できるときは「正信偈」という 浄土真宗で大切にされる偈文(

          その悲しみに寄り添えたなら

          久々に泣いてしまいました。 『その悲しみに寄り添えたなら』天野和公著/イースト・プレス 著者の天野和公さんは、仙台でご主人と一緒に単立寺院(特定の宗派に属さない寺院)を運営されています。以前、同著者の『ミャンマーで尼になりました』を読んでいてとても好きだったので、2019年に発売されたこちらのコミックエッセイを購入しました。 Amazonから届いた後、また時間ができたら読もうと置いてあったのですが、昨日の深夜2時に目が覚めてから一気に読んでしまいました。文字通り、枕を濡

          その悲しみに寄り添えたなら

          早く聞いた方がいい

          先週の土曜日、お世話になっているお寺で4度目の法話会を開催しました。 その名も「ちいさな法話会」。 季節ごとにこぢんまりと行う、カジュアルなお話会です。 法話というと、たいていの方は葬式や法事でしか経験がないと思います。 ご年配の方は地域のお寺で聞くことがあるかもしれませんが、私の知る限り、伝統的な法話会(法座)では50代以下の方はあまり見かけません。(なので、40代の私は若者です!) 「ちいさな法話会」を始めたのは、自分自身が子育てをする中で、お寺へ行きたくともなかな

          早く聞いた方がいい

          私見、お寺の現状マップ

          前回、前々回の記事(下記リンク)で、僧侶の松本紹圭さんとの対話をシェアしました。それを経て、現在自分が考えていることを書いてみたいと思います。 【松本さんとの対話のポイント】 ・「日本のお寺は二階建て」論の再確認 ・一階部分(先祖供養)が危うい状態が続いている ・一階部分の意味づけが新たに必要かもしれない ・お寺によって、環境や人間関係等の事情が異なり、危機感レベルはさまざま ・いずれにしても、このまま放っておくと寺は廃れる ・お寺は地域のサードプレイスとしての可能性がある

          私見、お寺の現状マップ

          仏教好き主婦、世界的僧侶とお寺を語る(後編)

          私はこの夏、「お寺の広報部」として起業しました。起業したのは、お寺をもっと盛り上げたい!仏教を伝えたい!という思いから。しかし、その気持ちが強くなればなるほど、いくつかの悩みや疑問が浮上。そんな折、以前よりポッドキャストを聞いていた僧侶・松本紹圭さんと、幸運にもお会いする機会をいただくことができました。今回は、そこでの対話内容を皆さんと共有したく記事にまとめました。記事公開の経緯については【後編】の最後にも捕捉しますので、もしご興味がありましたらご覧ください。 【お断わり】

          仏教好き主婦、世界的僧侶とお寺を語る(後編)

          仏教好き主婦、世界的僧侶とお寺を語る(前編)

          私はこの夏、「お寺の広報部」として起業しました。起業したのは、お寺をもっと盛り上げたい!仏教を伝えたい!という思いから。しかし、その気持ちが強くなればなるほど、いくつかの悩みや疑問が浮上。そんな折、以前よりポッドキャストを聞いていた僧侶・松本紹圭さんと、幸運にもお会いする機会をいただくことができました。今回は、そこでの対話内容を皆さんと共有したく記事にまとめました。記事公開の経緯については【後編】の最後にも捕捉しますので、もしご興味がありましたらご覧ください。 【お断わり】

          仏教好き主婦、世界的僧侶とお寺を語る(前編)

          『生きのびるための事務』

          お盆の帰省で香川県に帰ってきました。 夫が仕事で忙しいので、私と子供2人だけで実家へ。 もうじき広島へ戻るのだけど、たった一週間ほどとは思えないほど濃かったように思います。 ここ数日が濃いものとなったのは、この本のお陰かもしれません。 坂口恭平『生きのびるための事務』 「事務」が苦手な私は、タイトルを見てひとめぼれ。坂口さんの本は以前にも読んで影響を受けていたこともあり、即決でした。 ”「未来の夢」ではなく「未来の現実」を決める” 本書のこの言葉に従って、私は「未来

          『生きのびるための事務』

          「おかげさま」

          コロナ禍の始まった2020年、仏教にであいました。 当時、世の中は「マインドフルネス」ブーム。私もその影響で仏教に興味を持ち、たまたま訪れたのが浄土真宗のお寺でした。そこで「他力念仏」というものを知り、気づけば仏道を歩み始めていたのです。 だけど、それまで実家の宗派が何なのかも知らなかったような者が、すぐに信じられるほど浄土真宗の教えは簡単ではありません。 (ちなみに、実家は真宗興正派でした) 何度も道を逸れ、しばしば忘れ、時に疑うことすらある。 それでも戻ってきて、

          子育て本を作りたい。

          かねてからの夢の一つとして、【仏教に基づいた子育て本】を作りたいと思っていました。 私はもともと文章を書くのが好きで、仏教についてもここで少しずつ思いをつづっています。子育てについてもちょいちょい書いていますが、”仏教系の子育て本”を探してみたところ、ないことはないが、自分が読みたいと思うものがなかなか見つかりませんでした。 ないなら作ろうじゃないか! と、またやりたい欲がむくむくとわいてきてしまいました。(これも煩悩か) 本を作ると言っても、自分の思いを書くわけでは

          子育て本を作りたい。

          人間は面倒な生きもの。だからこそ...

          先日、エンジニアの友人による「デジタル勉強会」に参加しました。 日常的にパソコンやスマホに触れることは多いものの、感覚人間の私は「デジタルに強くなりたい!」と願っていたため、大変ありがたい機会でした。 クラウドとは? アカウントとは? 超基本的なことから、AIやチャットGPTでできることまで。 短時間の間に、さまざまなことを教えてもらいました。 チャットGPTに質問を投げかけると、 「そうですね、お任せください」 などと優しいあいづちをうってから、的確な回答をしてくれます

          人間は面倒な生きもの。だからこそ...

          最近、スキップしてますか?

          「危ないから、はしっこ歩いて!!」  小学1年生の次男は、何度よびかけても車道へはみだしてしまいます。 しかも、スキップをしながら。 先日、次男が近所へ散歩へ行くというのについていきました。 学校から帰ったばかりで疲れているかと思いきや、寒さもかまわず薄着で外へ。 ゲーム好きで、普段は部屋の中で寝っ転がって指だけ動かしていることもありますが、それでもこどもはこども。外へ出れば元気いっぱいです。 昔、ある有名コピーライターの方が、コラムでこんなことを書いていました。 「

          最近、スキップしてますか?

          死を想い、いまを生きる

          先日、雨のふりしきるなか、お世話になっているお寺の法座(寺で定期的に開催される仏教行事)に参加してきました。 浄土真宗の法座には、たいてい「布教師」と呼ばれる法話専門のご講師が来られます。この日は女性僧侶の方がお見えでした。 この日のテーマは「仏教婦人会のメリット・デメリット」。いつもの ”仏様のお話” とはおもむきの異なるタイトルにびっくりしましたが、内容は大変すばらしいもので、あまりに感動して帰宅後もずっとそのことについて考えていました。 ******* 「私たち

          死を想い、いまを生きる

          英会話と仏教の共通点

          仏教を学んでよかったこと。 そのひとつが【自分の枠に気づくようになった】ということです。 例えば家族とケンカをしたとき。 先日も、新しい家電を買う買わないで、夫と不穏な空気になりました。(ケンカの原因は、いつもくだらないですねw) 最初は「私が正しい、相手が間違っている」と思っていたのですが、やがて自分の枠にとらわれていたことに気づき、冷静になることができました。 どうやって枠に気づいたかというと、それは「仏さまから見ればどうだろう」と考えることです。 『西遊記』の孫

          英会話と仏教の共通点