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不便だけど楽しいを知ってしまった

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読んで頂きありがとうございます♪

「何でこんなにしんどいんだ……」
毎回、山に登る度に思います。

私は、滋賀県の蓬莱山を登っていました。
山頂には、ロープウェイで行ける、琵琶湖バレイがあります。
琵琶湖の眺望を眺められるテラス、レストランが人気の観光施設です。

目的は、山登りをする、山頂でご飯を作り、食べる事です。
私と友達は「山ご飯」と呼んでいました。

「山ご飯をしに行こう!」と誘います。

会社と家の往復の日々に疲れると、無性に山に行きたくなります。
その時も、仕事が忙しく、精神的に疲れていました。
精神的に疲れてくると、頭は疲れているのに、体は疲れていません。
そんな時は、自然の中で、思いっきり体を動かしたくなります。
そうすると、頭と体のバランスを取る事ができます。

前回、友達と山に行ったのは、3ケ月前です。
山登りして、山頂で山ご飯をしていました。
ガスバーナーを使い、お湯を沸かします。
お湯で、レトルトシチューを温め、フランスパンを添える。
携帯用フライパンで、ウインナーとピーマン炒めをします。
友達が、リュックにワインボトルを入れて、持ってきてくれました。

山の上で食べるご飯は、いつもより美味しく、ワインもすすみます。
自然の中で食べるという環境が、美味しく感じさせるのでしょう。
レトルト食品をうまく使い、凝ったものを作らなくてもいいのです。
気付けばご飯を食べた後、ポカポカ陽気で1時間程昼寝していました。
寝てしまうくらい、リラックス出来たのです。

今回の山ご飯も、楽しみです。
大きなリュックには、食料品、携帯用の調理道具が入っています。
山に入る場所には、ロープウェイ乗り場がありました。
殆どの人が、ロープウェイで山頂に行くようです。
そのため、乗り場には列が出来ていました。

私たちは、並んでいる人を横目に見ながら、山道に入ります。
世間話をしながら登りますが、だんだんと疲れてきます。
次第に、ハアハアという自分の息遣いだけが、聞こえてきました。
汗がポタポタと地面に落ちているのが、分かります。
腕を見ると、霧吹きで水を吹きかけたような汗が、吹き出ていました。

登りばかりで辛くなり、気を紛らわせようとして、友達に話しかけます。
「私1人で山登りして、テント泊してみたい」
1人で山を登って、テントを張って泊まってみたい。
ですが、装備を買うのにお金がかかり、準備も必要で、まだ出来ていないと話します。

友達は、1人で長野の山を5泊、テント泊するという経験者です。
「テント、寝袋、リュック、必要な物を買うと10万円以上かかるね」
「山でテント泊していると、不便だけど楽しい!」
山の事を色々教えてくれながら、登りました。
その時の友達の言葉が、気になります。

「不便だけど楽しい」

脚が疲れきった時に、山頂に辿りつきました。
周りは、ロープウェイで来た、普段着の人達ばかりです。
その姿を見て、私達は汗だくの登山姿で、浮いているなと思いました。
友達は、周りを気にも留めずに、ご飯を作る場所を探していました。

今回のメニューは、キムチ豚肉丼、サラダ、サムゲタンスープだ。

ガスバーナーでお湯を沸かします。
フリーズドライのご飯にお湯を入れて、食べられる状態にします。
携帯用フライパンで、豚肉を焼き、キムチを入れ、味付けをしました。
レトルトのサムゲタンスープは、温めるだけです。
サラダは、あらかじめ洗った野菜を持って来ました。
今回もワインを飲みます。

山に慣れた友達が、メニューを考え、材料を用意してくれました。
山頂なので、町と比べると6度程低く、暑さを感じません。
自然の中で食べるご飯は絶品です。
私は、登山中に気になっていた話しを質問します。

「何で、不便だけど楽しいって思う?」

「山の中で過ごすと、日常生活にムダな物が多いと分かるから」
と言った友達の言葉になるほど! と感心しました。
例えば、テント泊は、19時頃に寝て、4時頃に起きます。
日の出、日の入り時間で生活します。
日常のように、夜中までテレビやスマートフォンを、見る事はありません。
必要最低限の持ち物で、自然の中で過ごすのだと、思いました。

山にロープウェイで行くのではなく、登山する。
レストランではなく、山でご飯を作って食べる。
この行為が「不便だけど楽しい」のだと思いました。
最小限の道具で料理を作り、簡単なメニューは、ごちそうになります。
そして、いつもの生活は便利で、ありがたいと実感出来ます。

山にロープウェイでなく、自力で登った後の達成感はたまりません。
自然の中で食べるご飯は、レストランより何倍も美味しい。
下山後のお風呂は、いつもより、スッキリと爽快感があります。
電車に乗っているのでさえ、楽だなぁと感じます。
普段なら当たり前の事が、喜びとなって感じる事が出来ました。

不便な環境にいるからこそ、自然の恵みを受ける事が出来ます。
樹齢何百年の木に触れたり、新鮮な空気を吸い、リフレッシュできる。

「不便だけど楽しい」は私を日常の便利で当たり前な事から、離れさせてくれる。
便利な生活は、当たり前でないのだと気付かせてくれます。

日常に疲れた時は、山ご飯をする。
「不便だけど楽しい」は、また明日から頑張ろうという、活力になるのです。


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